第7回消化管CT技術研究会 開催
—タブレット端末を用いて大腸解析を学ぶ全員参加型企画を初めて実施
2013-11-7
会場風景
第7回消化管CT技術研究会が,2013年11月2日(土),ヒューリックホール東京・浅草橋(東京都台東区)にて開催された。CT Colonography(CTC)を中心とした消化管検査に携わる診療放射線技師有志により,2010年に発足した消化管CT技術研究会は,意見交換とレベルアップを目的に,年に1,2回のペースで開催されている。今回は,当番世話人の小倉敏裕氏(群馬県立県民健康科学大学)のもと,「燃えろ! CTC!!」をテーマに多彩なプログラムが組まれ,全国から209名が参加した。総合司会は吉川秀司氏(大阪医科大学附属病院)が務めた。
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小倉氏による開会挨拶に続き,「PARTⅠ CTCはじめました!」(共催:東芝メディカルシステムズ(株))が行われ,最近になってCTCをはじめた施設からの報告2題と,教育講演1題が行われた。前半のCTC開始施設からの報告では,小倉氏が司会を務め,最初に田口祐也氏(名古屋記念病院)が「大腸がん検診に用いる簡便な大腸CT前処置法の検討」を発表した。大腸CT用検査食「FG-one★」(ヱスビー食品開発,伏見製薬販売)を併用し,900mLの等張液で前処置を行った午前検査法・午後検査法のそれぞれについて,描出不能範囲割合,固形残渣数,被検者受容性の評価を行った。その結果,大腸CT用検査食を併用することで,従来の半量となる900mLの等張液で十分な画質が得られた。今後,タギング併用により,さらなる減量の可能性を示唆した。
次に,進藤邦彦氏(医療法人社団博友会 進藤医院)が,「自験例270例のCT Colonographyー実地医家の役割を果たすCTCの利点」と題し,CTCにより内視鏡検査が不要になった症例や,高齢や癒着などにより内視鏡挿入困難で,CTCでなければ検査が不可能だった症例などを紹介した。
続いて,山﨑通尋氏(医療法人 山下病院)の司会のもと教育講演が行われ,市川太郎氏(日本医科大学武蔵小杉病院)が「初めてのCTC読影に戸惑う私」と題して,CTC読影初心者の心構えや注意点などについて講演した。CTCは,腸管の周辺や他臓器を確認できる利点があり,検診にとどまらず総合診断の一部を担える可能性があると述べるとともに,読影力が向上するまでは,検診目的と割り切り,進行がんを見落とさないように努めることが重要であるとした。
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次いで,一般演題が行われ,力石耕介氏(聖マリアンナ医科大学病院)が座長を務めた。演題は発表順に,高林 健氏(北海道消化器科病院)の「大腸3D-CTの前処置の評価ーー通常法と低用量法の比較」,鳥居 純氏(国立がん研究センター中央病院)の「検診CT Colonographyにおける再構成条件の検討」,松田勝彦氏(済生会熊本病院予防医療センター)の「大腸CTの偽陰性症例における見逃し原因の検討」,清水徳人氏(まつおかクリニック)の「クリニックにおけるCTCハンズオントレーニングの開催」。
この後,ランチョン形式にて,「CT装置の最前線」として,GEヘルスケア・ジャパン(株),シーメンス・ジャパン(株),東芝メディカルシステムズ(株),(株)日立メディコの4社による最新技術報告が行われた。
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午後の部はまず,「PARTⅡ 所見レポートを書こう!」をテーマに,ワークステーション実機を用いた大腸解析の解説と,大腸解析トレーニング用アプリを搭載したタブレット端末で参加者が実際に解析・読影を学ぶ,研究会初の参加型企画「さあ,みんなで解析しよう! ーワークステーション実力検定2013ー」が行われた。
最初に,「解析の実践! 〜所見,どう,みる?〜」と題し,研究会世話人の山本修司氏と鈴木雅裕氏(国立がん研究センター中央病院)が,大腸解析の基礎や方法について解説。
その後,共催4社(アミン(株),(株)AZE,GEヘルスケア・ジャパン(株),富士フイルムメディカル(株))のワークステーションにおける大腸解析を解説するとともに,参加者はタブレット端末にて,トレーニング用の症例の解析,読影を体験した。
最後に,「PARTⅢ エーザイ/エーディアセッション」として,2題の講演が行われた。講演1では,坂本 崇氏(済生会熊本病院)が司会を務め,小倉氏が「最近のCTC関連技術開発」を講演した。まず,仮想内視鏡像とMIP画像を合成し,周辺血管やリンパ節も観察できるVCF(Virtual colonoscopic fluolography)を紹介し,最適なスラブ厚について,9mm厚が有意差を持って良好であったと検討結果を報告した。次いで,開発中の腫大したリンパ節を見つけることで間接的にがんを見つけるCADアルゴリズムを紹介。最後に,CTCにおけるステレオ視による平坦型ポリープの描出能について検討結果を報告し,視野そのものが広がることで検出率が向上することが期待できるとして,ステレオ視による観察は早期発見の一手段として利用できると述べた。
講演2は,平野雄士氏(小樽掖済会病院)が司会を務め,小林広幸氏(福岡山王病院)が「早期大腸癌の注腸X線・内視鏡診断ー肉眼型による臨床的特徴と診断の留意点ー」を講演し,CTCに役立てるための内視鏡,注腸X線,病理について詳細に解説した。小林氏は,CTCも内視鏡や注腸X線と同様に,特に平坦・陥凹型病変の拾い上げが容易でないことから,どのような病変があるかを知り,CTCではどのように見え,どこを詳しく調べなければならないかを常にイメージしながら観察することの重要性を繰り返し強調した。また,フィードバックなしには読影能・診断能は上がらないとして,臨床医からのフィードバックの重要性を述べた。
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会場前のホワイエでは,メーカー11社による機器展示も行われた。
次回,第8回消化管CT技術研究会は,2014年5月24日(土)に熊本市国際交流会館(熊本市)での開催を予定している。
【共催】
東芝メディカルシステムズ(株),GEヘルスケア・ジャパン(株),シーメンスジャパン(株),(株)日立メディコ,アミン(株),(株)AZE,富士フイルムメディカル(株),エーザイ(株)/エーディア(株)
【メーカー展示(11社)】
東芝メディカルシステムズ(株),エーディア(株),GEヘルスケア・ジャパン(株),日本メドラッド(株),伏見製薬(株),(株)根本杏林堂,富士フイルムメディカル(株),堀井薬品工業(株),アミン(株),(株)AZE,(株)京都科学
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●問い合わせ先
消化管CT技術研究会ホームページ
http://gict-tec.com
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