RSNA2019 シーメンス - X-ray
独自の側面アームを採用した血管撮影装置「ARTIS icono」をRSNA初披露
2019-12-3
独自の側面アームを採用した「ARTIS icono」
RSNA 2019 X-ray
Siemens Healthineers(シーメンス)のX線撮影装置は,ロボット技術を応用したX線透視・撮影装置「ARTIS pheno」などユニークな設計の装置が知られるが,RSNA 2019でも特徴的なアームを持つ装置がTechnical Exhibit会場にインパクトを与えた。その新製品「ARTIS icono(日本名:ARTIS icono D-Spin)」は,キャタピラを用いた斬新な設計の側面アームを持ち,急性期脳卒中治療において,治療までの時間短縮と高度な手技に応える高画質を実現する。2019年のECRで発表された後,日本国内でもRSNAに先立つ11月19日(火)に発表された。
治療までの時間短縮に貢献する技術の一つとして,“Twin Spin”を採用した。従来,2D撮影から3D撮影に切り替える際には,側面アームを待避させる必要があったが,高速・広範囲の駆動が可能な独自の側面アームが正面アームの動きに追従して動作。バイプレーンセッティングの状態で3D撮影を行える。これにより,アームを待避させるための時間をカットでき,速やかな治療につなげることが可能となる。さらに,Twin Spinにより,正面アームと側面アームで同時に透視することで,3D撮影前のROIの位置合わせも無駄なく行える。また,ARTIS iconoでは,3D撮影の時間短縮を図る技術として,“syngo DynaCT High Speed”も採用している。従来,高精細モードで20秒程度要していた頭蓋内ステントの撮影も,約8秒で終えることが可能だ。一方,高画質化を図る技術として,“syngo DynaCT Sine Spin”を搭載している。この技術は,CTライクイメージング撮影時に一定軌道で動作していたアームを,頭尾方向に10°傾斜を付ける二重軌道回転機構を有している。これによって多方向からデータを収集でき,頭蓋骨に起因するアーチファクトを大幅に抑えたクリアな画像で出血位置などが観察可能になる。また,新技術の“syngo DynaCT Multiphase”は,10回の連続回転撮影により,時間軸情報を持った脳の血流画像を取得。CBFやCBV,MTTといったパーフュージョン解析を行える。このほかにも,ARTIS iconoは,患者の体格に応じて最適な線量で撮影する“OPTIQ”と呼ばれる新技術を採用している。
X線関連では,マンモグラフィ「MAMMOMAT Revelation」が新バージョンへと進化した。従来のトモシンセシスの画像処理時間を短縮化して検査の効率化を図れる。また,トモシンセシス画像から合成2D画像を再構成する“Insight 2D”の改良が図られ,従来よりも2Dマンモグラフィで撮影した画像に近い画質を得られるようになった。
ほかにも会場内には,一般撮影装置「MULTIX Impact」(薬機法未承認)を展示した。X線管球側にカメラが取り付けられ,被検者の動きを確認しながら撮影できる。このカメラをさらに応用して,将来的には,被検者の位置を自動認識し自動で最適なポジショニングができるような技術をめざす。会場内に設けられたFuture of X-rayコーナーでは,胸部,膝,長尺撮影でのイメージを紹介した。