RSNA2019 GEヘルスケア - ヘルスケアIT
“Open AI Orchestrator”など,AIアルゴリズムを日常診療で使用するためオープンな環境を紹介
2019-12-5
Open AI Orchestratorを用いたワークフロー
RSNA 2019 ヘルスケアIT
GE Healthcare(GEヘルスケア)は,今回のRSNAにおいて人工知能(AI)のブランドである“Edison”の製品や技術を多く登場させた。デジタルヘルス(ヘルスケアIT)のエリアでは,Edisonや他社のAIアルゴリズムを今後どのようにPACSやビューワなどと組み合わせていくか,デモンストレーションを行った。また,AIアルゴリズムのためのプラットフォームなど,GEヘルスケアが提供するオープンな環境もPRした。
今回紹介した“Edison Open PACS AI”と“Open AI Orchestrator”は,臨床のワークフローの中で,PACSとAIアルゴリズムをシームレスに連携させて使用できるようにする。Open AI Orchestratorは,検査種別ごとに使用するAIアルゴリズムや解析結果をビューワで表示するワークフローを,ユーザー自身が設定できるアプリケーションである。ダイアグラム形式でのドラッグ・アンド・ドロップによる直感的な操作が可能なのも特長である。現状,AIアルゴリズムは,部位や疾患ごとに数多く必要となるが,GEヘルスケア1社ですべてをカバーすることはできない。そこでGEヘルスケアでは,“Edison Developer program”を発表し“AI Inferencing Service”と呼ばれるアプリケーションを開発。世界中のAI企業が開発するアルゴリズムを利用できるオープンなプラットフォームを提供し,ユーザーがOpen AI Orchestratorによって,最適なワークフローを実現できるようにした。例えば,ユーザーが頭部MRI検査に使用するAIアルゴリズムを設定しておくと,自動的に検査画像をAIアルゴリズムが解析し,アノテーションのついた画像をPACSに送信。ユーザーは「Universal Viewer」などでその画像を参照する。今回のRSNAでは,Open AI Orchestratorを使用した非造影CTの出血検出アルゴリズム(Max QAI社),マンモグラフィの結節検出アルゴリズム(iCAD社),乳腺超音波の結節検出アルゴリズム(Koios Medical社)などで解析した結果をUniversal Viewerで参照するワークフローが紹介された(すべて薬機法未承認)。
また,デジタルヘルスのエリアでは,business intelligence(BI)ツールにより,病院経営を可視化し,意思決定を支援する「Command Center」と呼ばれるソリューションを紹介した。これは,電子カルテやICUの生態情報モニタなどから得られるデータを集約し一元的に管理,表示することで,リアルタイムで医療機関の経営状況などを可視化して分析できるようにする。この分析結果を基にワークフローの改善を図れる。米国ではジョンズホプキンス大学をはじめ,複数の医療機関にこのソリューションが提供されている。
このほか,今回のRSNAでは,従来提供してきたVNAである「Centricity Clinical Archive」や「Centricity 360」のブランド名を変更して,新たに「Edison Datalogue」として提供していくことも紹介された。Edison Datalogueには,医用画像などのデータを医療者や医療機関同士で共有する「Edison Datalogue Connect」,VNAのデータを基に診療や経営に関する情報を可視化する「Edison Datalogue Insights」が用意される。