RSNA2019 富士フイルム - X-ray
Film-based TFTによる重さ1.8kgの新しいFPDを展示
2019-12-5
ISS方式のFilm-based TFTにより,
高画質と軽量,割れないセンサーを実現
RSNA 2019 X-ray
FUJIFILM Medical Systems(富士フイルム)のデジタルX線コーナーでは,TFTにガラスフリーの薄膜フレキシブル素材を採用した新しいカセッテDR(フラットパネルディテクタ,以下FPD)である「FUJIFILM FDR D-EVO Ⅲ」(米国製品名,FDA認可済。「D-EVO」は日本では「CALNEO Smart」として販売)が展示された。昨年のRSNA2018で技術展示された“high sensitivity flexible sensor technology”を,FPDに組み込んだものだ。
CALNEO Smart(D-EVO)シリーズは,検出器にX線を可視光に変換するシンチレータと,可視光を電気信号に変換するフォトダイオードを搭載したTFTを組み合わせた間接変換方式を採用している。CALNEO Smartでは,シンチレータ部分にガドリニウムオキサイドサルファ(GSO)とより感度の高いヨウ化セシウム(CsI)を使った機種がラインアップされている。D-EVO Ⅲでは,シンチレータからの光を電気信号に変換するTFTの部分に,従来のガラス素子に代わりフィルム素材を使ったhigh sensitivity flexible sensor technologyを使用することで軽量化が可能になっただけでなく,TFT基板が薄いフィルムになることで信号の読み出し感度が向上し画質が向上した。さらに,新しいFPDでは,同社のFPDの特長でもあるISS(Irradiation Side Sampling)方式を採用している。これによってDQE(detective quantum efficiency:検出量子効率)が従来よりも向上し33%となっている。また,ガラスフリーになったことで検出センサが割れる心配がなく,重量についても1.8kg(17×14インチ,バッテリー除く)と世界最軽量となった。パネルの表面と裏面には,富士フイルムの独自の抗菌技術である「Hydro Ag」によるコーティングも施されている。Film-based TFTを使った新しいFPDは,日本では2020年度中に発売を予定している。
液晶ディスプレイなどで,ガラスではなくフィルム素材を使ったTFTはあるが,スマートフォン向けなど小型なものがほとんどだった。FPDなどに使う大型のパネルを安定してつくることが難しかったが,富士フイルムでは写真フィルムで培ってきた安定した製造工程があり,それによって次世代のFPDをいち早く投入することができたという。まずは,FPDへの搭載からスタートするが,今後は検出ユニットの柔軟性を生かした製品の登場も期待される。