RSNA2019 キヤノンメディカルシステムズ − CT
AIによる画像再構成“AiCE”やdual energy撮影を搭載し“Deep Learning,Made possible”を大きくアピール
2019-12-4
“Deep Learning,Made possible”を実現する
5機種のCT関連装置をそろえて展示
RSNA 2019 CT
Canon USA Inc.(キヤノンメディカルシステムズ)のCTでは,今回,PETとの組み合わせ(80列),血管撮影装置との組み合わせ(320列)を含めて5機種が展示された。CT単体としては,AI技術(ディープラーニング)を用いた画像再構成“Advanced intelligent Clear-IQ Engine(AiCE)”とdual energyを可能にした320列CTの最上位機種「Aquilion ONE / PRISM Edition」,0.25mmの検出器を搭載した超高精細CT「Aquilion Precision」,80列CT「Aquilion Prime SP」が展示された。CTコーナーのコンセプトが“Deep Learning,Made possible”となっていることが示すように,この5機種すべてにAiCEが搭載されている。
さらに,今回のRSNA2019に合わせて発表された新製品であるAquilion ONE / PRISM Editionには,ディープラーニングを使ったdual energy撮影を可能にする“Spectral Imaging System”が搭載された。Spectral Imaging Systemは,高kVと低kVを高速でスイッチングするRapid kV switchingによるdual energy CTにおいて問題となっていた,高kVと低kVのエネルギー分解能の低下をディープラーニングを用いることで解決し,高いエネルギー弁別能と低ノイズを両立させる技術である。Switching速度の最適化により,AEC連動にも対応する。
また,AiCEの適用領域についても,これまでのBody,Cardiac,Lungに加えて,Body Sharp,Brain,Boneを追加し全身領域で対応が可能になったことをPRした。AiCEの再構成処理にはこれまで別ユニットが必要だったが,Aquilion ONE / PRISM Editionでは最新の高性能GPU搭載により,AiCE再構成ユニットをCTのコンピュータボックスに一体化し,よりコンパクトに設置可能になった。処理スピードも従来のAIDR 3Dと同等の処理時間を実現しており,ディープラーニングを適用した画像処理がルーチンで使用できる環境が整い,これによって空間分解能の向上,撮影スピード,被ばく低減をバランス良く実現している。
また,キヤノンメディカルシステムズ初のデジタルPET検出器を搭載した「Cartesion Prime」もワールドワイドでは初お披露目となった。Cartesion Primeは,80列のAquilion Primeと組み合わせたPET-CT装置だが,PET部分にキヤノンメディカルシステムズとしては初めてデジタルPET検出器を搭載したのが最大の特徴だ。このデジタルPET検出器には,1) 100%カバレッジ,2) 27cm Axial Field of View(FOV),3) 1:1カップリング,4) エア・クーリングの4つの特徴がある。100%カバレッジは,信号を受けるLYSOシンチレータの面積を半導体光センサ[シリコン光電子倍増管(Silicon photomultipliers:SiPM)]が100%カバーすることでデータ収集効率を向上している。27cm Axial FOV(体軸方向の1回の撮像範囲)は,広い範囲をカバーすることで検査効率を向上する。27cmのカバー範囲は臨床機では最大となる。1:1カップリングは,シンチレータのピクセルとセンサのピクセルを1:1で対応させることで,より効率的で適切な信号の収集が可能になっている。エア・クーリングは,デジタルPETで課題となる検出器の熱問題を,CTなどで培ってきた空気流体解析を基に空冷によって検出器を冷やす機構を開発し,水冷方式に比べてメンテナンス性に優れ,ランニングコストも抑えられる。