RSNA2018 フィリップス - CT
ルーチン検査でスペクトラルイメージングを実現する「IQon Elite Spectral CT」の臨床画像を紹介
2018-11-28
モニタでバーチャルガントリを展示した
「IQon Elite Spectral CT」
RSNA 2018 CT
Philips(フィリップス)のCTは,スペクトラルCT装置「IQon Elite Spectral CT」の臨床画像を中心に展示を行った。今回は装置のモックアップは設置せず,モニタにて装置の特徴や技術について説明が行われた。
IQonシリーズは,上下2層の検出器を搭載し,高エネルギーと低エネルギーのデータを分けて収集することで,レトロスペクティブにスペクトラルイメージング解析ができるCTシステム。IQon Elite Spectral CTでは,画像再構成ユニット“HyperSight Elite Spectral Reconstructor”により画像処理速度が向上し,真にすべてのルーチン検査のスペクトラルイメージングが可能になった。実際に,日本国内のユーザーも日常的にスペクトラルイメージングを実施しており,それは大学病院に限らず,1台体制でMRI検査を行っている一般病院も同様だという。さまざまな領域を対象に,日常的にDual Energyができることで,各施設で多彩な検討が進められており,その成果としてRSNA 2018ではIQonシリーズを使用した演題が日本から5題採択されている。展示では,日本国内のユーザーの画像も多く紹介された。
仮想単色X線画像“MonoE”の使用例として,日本国内の膵臓がん症例が紹介された。造影後期の撮影では造影剤の洗い出しが進むため,通常画像(120kVp)ではコントラストが低下するが,MonoEの40keVではコントラストが上昇し,病変の視認性が向上する様子が示された。MonoEのkeVは,ワークステーション上でスライドバーを使ってインタラクティブに調整できるため,ユーザーにとって最適なコントラストの画像を,あとから容易に作成することができる。
IQonシリーズのスペクトラルイメージングは,領域や範囲に制限がない点も特長である。それを示す一例として冠動脈狭窄症例が供覧された。冠動脈ステント留置後の再狭窄の評価では,通常画像ではステント内に再狭窄があるかの評価が困難だが,ヨード密度画像を作成することでヨードが通っていない(狭窄している)部分が黒く抜けて表現されるため,容易に再狭窄評価をすることができる。
また,CT装置によってはDual Energy撮影の撮影範囲が限定されることがあるが,IQonシリーズは通常通り撮影した画像からDual Energy解析を行うため,撮影範囲に特別な制限はない。会場では,腕の外傷による救急症例で,受傷部だけでなく全身状態を評価するために上肢と体幹部を一緒に撮影し,後からMonoEで造影効果を向上させる処理を施した症例が紹介された。約45cmの広い範囲も問題なく撮影できており,緊急時にも短時間で高度な検査画像を提供できることが示された。