RSNA2018 GEヘルスケア - 核医学
自動呼吸同期による体動補正を行う“Advanced MotionFree”がもたらす定量精度と空間分解能の向上を紹介
2018-11-27
定量精度と空間分解能を向上する呼吸同期体動補正技術
“Advanced MotionFree”
RSNA 2018 核医学
GE Healthcare(GEヘルスケア)の核医学コーナーの注目は,2018年11月13日に日本でも発表されたPET/CTの呼吸同期技術である“Advanced MotionFree”である。半導体検出器搭載PET/CTの「Discovery MI」と「Discovery MI DR」に搭載可能で,日本国内では,「Discovery MI-AM edition」として展開されている。
Advanced MotionFreeは,呼吸監視システムを使用せずに,装置本体が呼吸をモニタリングして,自動的に体動補正の必要性や収集時間の延長を装置自体が判断する。PET/CT検査では,約50%の検査で呼吸性移動の影響を受けていると言われており,モーションアーチファクトの発生や定量性の低下など,大きな課題となっていた。これを解決するために,従来は呼吸監視システムを用いた呼吸同期を行っていたが,被検者の呼吸コントロールが必要になることや,セットアップに時間がかかるなどの理由により,あまり普及していなかった。しかし,呼吸同期による画像の高精度化は,放射線核種の集積や治療効果を見る場合に重要であることから,被検者に負担をかけない体動補正技術の開発が求められていた。
そこで開発されたのが,Advanced MotionFreeである。この技術を用いることで,定量精度が最大で約30%向上し,呼吸性移動による空間分解能の劣化を67%改善できるといったメリットも報告されている。また,従来の呼吸監視システムは,体の上にマーカーを置いていたが,その必要がなくなり,自然な姿勢で撮像を行うことが可能である。検査時間自体も,呼吸監視システムのセットアップが不要となることから短縮される。
ブースでは,Advanced MotionFreeに対応するDiscovery MIも展示された。2016年に日本国内での販売を開始したDiscovery MIは,半導体検出器「LightBurst Digital Detector」を搭載。TOF時間分解能を向上し,従来の2倍となる解像度を実現している。さらに,感度と雑音等価計数率(NECR)が約20%向上して,従来の1/2の検査時間と被ばく量で検査を施行できる。また,GEヘルスケア独自の“Q.Clear”により, 画質と定量精度を高次元で両立した画像を得られる。
さらに,ブース内では,16列CT搭載SPECT/CT「NM/CT 870 DR」が展示された。日本では2018年6月に,800シリーズとして発表されている。同シリーズには,NM/CT 870 DRのほか,半導体検出器搭載SPECT/CT「NM/CT 870 CZT」,8列CT搭載SPECT/CT「NM/CT 860」,吸収補正用CT搭載SPECT「NM/CT 850」,SPECT「NM 830」の全5製品をラインアップしている。800シリーズは,新開発のコリメータにより検出器の感度が向上。高コントラスト分解能を実現するソフトウエアも搭載したことで,短時間での撮像と優れた病変描出能を実現した。また,新バージョンとなった核医学用ワークステーション「Xeleris 4DR」も定量アプリケーションの機能を強化している。