RSNA2018 富士フイルム - AI
AIを統合した環境での画像診断のワークフローを具体的にデモで提案
2018-11-29
AI LABコーナーで最新技術を紹介
RSNA 2018 AI
FUJIFILM Medical Systems USA ,Inc(富士フイルム)は,昨年のRSNA2017において人工知能(AI)への取り組みについて,従来の画像解析技術の延長ではなく改めてAI技術を組み込んだ製品やソリューションを開発していくことをアナウンスした。さらに,ITEM2018では画像診断領域におけるAI技術として「REiLI(怜悧)」のブランド名で展開を発表するなど,AI技術への取り組みを積極的に進めている。
今回のRSNA2018のブースでは,“AI LAB”のコーナーを設けて富士フイルムの画像診断領域におけるAI活用の現状をアピールしたほか,画像診断のワークフローの中でAI技術をどのように生かすか,同社のPACS「SYNAPSE 5」の環境をベースに具体的な説明を行った。
デモは,AIのインテグレーションについて,グローバル向けに展開しているRIS(ワークリスト)とPACSのワークフローで説明を行った。検査が終了しワークリスト上に読影のタスク(検査リスト)が表示されている状態で,放射線科医がこれから読影を行うというシチュエーションで説明された。ワークリストに表示された段階で,すでにAIによる事前チェックが終了し,所見と確信度が表示されている。さらに,所見内容から推定される緊急度を判断して優先度の高い順に並べ替えられて表示されている。患者を選択し画像を立ち上げると,画面内にAI(REiLI)のアイコンがあり,クリックすることで画像上にAIで自動検出された病変や構造がオーバーレイ表示されるようになっている。さらに,自動検出された結果はテキストとしてレポートに送ることができる。これはAPI(Application Programming Interface)として用意され,他社のレポートシステムでも,またティーチングファイルとしても利用可能になっている。
このように,富士フイルムグループのAI環境のコンセプトは,データの入力から解析結果の出力までオープンな環境で構築されているのが特徴である。さらに,読影システムへの実装では,従来の環境はそのままに,AI利用のために新たな操作方法などをおぼえることなく使えるシステムをめざしているのも特徴だ。現状でデモに搭載されているアルゴリズムは,自社開発の脳卒中(脳内出血,くも膜下出血,脳梗塞)や肺がんなどの7つと,Lunit(胸部X線画像から4つの疾患を検出するアルゴリズム)Riverain Technologies,Koios Medicalのサードパーティ製,UCLAで開発されたカテーテルの自動検出アルゴリズムで,自社だけでなくさまざまなアルゴリズムが一つのプラットフォームに統合されている。
また,富士フイルムホールディングスでは,次世代AI技術の開発拠点として,「Brain(s)(ブレインズ) FUJIFILM Creative AI Center」を2018年10月に開設している。Brain(s)では,アカデミア(理研や東京大学など)との共同研究による次世代AI技術の開発,AIやICT開発の人材の育成,外部の企業とのオープンイノベーションによる製品展開などに取り組んでいるが,その取り組みについても紹介した。そのほか,AIにつながる同社の画像処理技術開発の歩みについてまとめた年表を掲示していた。1956年に日本で最初に稼働した電子計算機「FUJIC」に始まり,1983年のFCR(Fuji Computed Radiography)から現在の画像処理技術に至るまでの経過を振り返った。