RSNA2018 キヤノンメディカルシステムズ - MRI
米国デビューの1.5T「Vantage Orian」やAIでSNR向上を図るDeep Learning Reconstructionを紹介
2018-11-27
世界デビューとなった1.5T MRI
「Vantage Orian」
RSNA 2018 MRI
Canon USA Inc.(キヤノンメディカルシステムズ)のMRIコーナーのメッセージは,“Advanced technology. Made possible.”。ブースでは,現在の1.5T と3Tの最新機種である「Vantage Orian」と「Vantage Galan 3T/Saturn X」を実機展示したほか,次世代3T MRI「Galan ZGO」で開発中のディープラーニングを用いたSNR向上再構成技術である“Deep Learning Reconstruction(DLR)”(W.I.P.)などの動向を来場者に説明した。
Vantage Orianは,ITEM 2018で発表された1.5T MRIの最新機種であり,RSNAでは初出展となる。Vantage Orianは,3T装置で培ってきた“Saturn Gradient”,“PURERF Rx”,“Multi-phase Transmission”といった技術を投入して高画質化を図っている。これによって,頭部や脊椎のディフュージョンイメージングでひずみのない高画質画像が得られる。また,高速撮像によって“Quick Star”“k-t SPEEDER”などのアプリケーションで,息止めなしでの撮像や心臓シネ検査の時間短縮を可能にする。そのほか,Vantage Orianでは撮像したい断面があらかじめ確認できる“ForeSee View”などで,ワークフローの向上も期待できる。静音機構の“Pianissimo Zen”,71cmのオープンボア,MRシアターなどもVantage Titanから引き続き搭載し,患者にやさしい検査を提供できることが特長である。
現在,開発と臨床応用のための検証を進めている最新の技術として,全社的に取り組んでいるUltra High Resolutionを実現するために,High power hardware,High SNR application,Rapid scan technologyの3つを柱に開発を進めていることを紹介した。
High power hardwareでは,研究機関向けに投入されている3T MRI「Galan ZGO」で,最大傾斜磁場強度100mT/m(Gmax100)での撮像が可能であり,従来より高分解能の画像が撮像できる。さらに,その傾斜磁場パワーを生かし,高分解能に伴うSNRの低下をカバーするために開発されているのが,AI技術(ディープラーニング)を用いたDLR(Deep Learning Reconstruction,W.I.P.)である。DLRでは,ノイズの多い画像に対してSNRが高い画像を教師画像にしてトレーニングされたニューラルネットワークを介することで,ノイズを除去した画像が得られる。DLRでは,従来と同等の撮像時間でよりSNRの高い画像を得ることも期待できる。従来のSNRを向上するためのSmoothing Filterでは,構造自体の情報も失われているが,DLRではランダムノイズだけを除去することができている。それによって,テンソル画像やMRAでも効果が出ていることを説明した。
また,新しいparallel imaging(PI)+compressed sensing(CS)で高速かつ高画質の撮像を可能にする技術として開発中の“MeACS”(Multi sensitivity map to Auto calibrating SPEEDER with Compressed Sensing,W.I.P.)についても紹介した。さらに,MeACSとDLRを組み合わせることで,短時間撮影でノイズを除去することにより,ルーチン検査で高分解能画像を撮像できることをめざして開発を進めていることを紹介した。