RSNA2018 キヤノンメディカルシステムズ - CT
高速で高い画質向上効果を実現するディープラーニングを用いた画像再構成技術“AiCE”を展示
2018-11-26
ディープラーニング画像再構成AiCEが
Aquilion ONE /GENESIS Editionにも搭載
RSNA 2018 CT
Canon USA Inc.(キヤノンメディカルシステムズ)のCTコーナーでは,高精細CT「Aquilion Precision」,320列Area Detector CTの最上位機種「Aquilion ONE /GENESIS Edition」,80列CTの「Aquilion Prime SP」の3機種が実機展示されたが,CTソリューションのメッセージが“Deep Learning inovation. Made possible.”となっているように,RSNA 2018の展示の目玉となったのがディープラーニングを用いて設計された再構成技術“AiCE(Advanced Intelligent Clear-IQ Engine)”である。
AiCEでは,ディープラーニング技術であるDeep Convolutional Neural Network(DCNN)を用いた再構成プロセスによって画質改善を図る。AiCEの特徴の一つがDCNNのトレーニングプロセスに,同社のMBIR(Model Based Iterative Reconstruction)である“FIRST”で処理した高画質データを利用することだ。ディープラーニングでは教師データの質が重要になるが,AiCEではFIRSTを再構成時間を制約せず強化。改良したアルゴリズムを用いて1症例ごとに画像の最適化を行い,その高品質なデータをターゲットとしている。これによって,低コントラスト領域での検出能の向上,高いノイズ低減効果による低線量領域での画質改善などを実現した。さらに,画像再構成時間もMBIRに比べて短縮している。
同社は,これまでCTの画像再構成技術について,FBPからハイブリッドIR法のAIDR 3D,MBIRのFIRSTと,一貫して画質の改善,向上のための技術開発に取り組んできた。AiCEは,その技術の蓄積があるからこそ,ディープラーニングの技術をいち早く臨床応用できたと言えるだろう。ブースでは,AiCEの技術概要の説明や臨床画像をプレゼンテーションするコーナーを設けて来場者にPRした。AiCEのサーバには,エヌビディアのGPUが8枚搭載され,71.2TFLOPS(IBM Watsonが80TFLOPS)という高い性能を持っていることを紹介した。
AiCEは,国内ではITEM 2018でAquilion Precisionへの搭載が発表され,11月12日にはAquilion ONE /GENESIS Editionへの搭載がリリースされた。米国では,FDA未承認(510k pending)で展開はこれからになる。また,対応領域については,Aquilion PrecisionではBodyのみだが,Aquilion ONE /GENESIS EditionではBodyに加えて,Lung,Cardiacが提供されるとのことだ。
AiCEのロゴが入って展示されたAquilion Precisionは,0.25mm×160列,1792chの検出器によって従来とは異なる高い解像度の画像収集を可能にした高精細CTで,2017年の発売以降,臨床での多くのデータが得られており,その成果を含めて紹介した。また,80列の最新機種であるAquilion Prime SPは,“PUREViSION Optics”などによる高画質化やアプリケーションなどADCTで培った技術を搭載すると同時に,78cmのワイドボアやコンパクトなガントリなど従来のAquilion PRIMEシリーズの特長を継承した装置であることをPRした。