RSNA2015 富士フイルム - X-ray
Virtual GridやDynamic Visualization Ⅱなど画像処理技術の最新バージョンの機能を紹介
2015-12-3
パネルのラインナップが充実した
「FUJIFILM DR CALNEO Smart」
RSNA 2015[第2日目:11月30日]
FUJIFILM Medical Systems(富士フイルム)は,パネルサイズのラインナップがそろったDR方式のカセッテタイプデジタルX線装置(以下,カセッテDR)の「FUJIFILM DR CALNEO Smart(米国製品名:FDR D-EVO Ⅱ)」をX線コーナーの中心に据えてアピールした。CALNEO Smartは,製品としてのコンセプトやデザインが日本だけでなく世界的に高く評価され,日本のグッドデザイン賞やレッド・ドット・デザイン賞,アジアデザイン賞などを受賞している。
散乱線成分を推定し元画像から除去することで,グリッドレスでも高コントラストでノイズの少ない画像を取得できる「Virtual Grid」は,これまで適応領域として胸部と腹部が対象だったが,新しいバージョンでは仮想グリッド領域が1:1から20:1まで拡大したことから,全身での適応が可能になる。新バージョンは2016年1月リリースの見込みである。
また,富士フイルムのデジタルX線の画像処理の基本となる,自動濃度安定化処理(EDR)とマルチ周波数処理(MFP)を一新した,新しい画像処理エンジンである“Dynamic Visualization Ⅱ”もアナウンスされた。Dynamic Visualization Ⅱでは,長尺での全身撮影などで体厚の薄い部分と厚い部分の両方のコントラストを同時に高めることが可能で,部位や場所を自動認識して最適な処理を行うことができる。こちらも2016年1月のリリースを予定している。
ブースでは,ITEM2015で初めて紹介された長尺撮影に対応する「CALNEO GL」もRSNA初出展となった。17インチ×49インチのロングサイズパネルで,1回の撮影で全脊椎や下肢の撮影をカバーする。これまで,CALNEO GLではVirtual Gridを使用することができず,実グリッドを装着しての撮影が必要だったが,Virtual Gridの新バージョンではCALNEO GLに対応し,これによってCALNEO GLのみで胸部撮影から全身まで,1台でカバーすることが可能になる。また,Dynamic Visualization Ⅱも利用できる。
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マンモグラフィでは,「AMULET Innovality(米国製品名:Aspire)」のトモシンセシス機能やトモシンセシス画像を用いてバイオプシーをサポートする“トモシンセシスバイオプシーソフト”を中心に紹介した。2方向(±15°)からの撮影画像(2D)から同一の石灰化などの採取目的位置を選択し,穿刺する座標を算出する従来の方式に対し,トモシンセシスバイオプシーではトモシンセシス画像を用いて立体的に観察できることから,1画像で位置座標を決定することができる。これにより簡便かつ正確なバイオプシー検査が可能になる。AMULET Innovalityのトモシンセシスは,検診用のSTモード(振り角±7.5度)と精査用のHRモード(±20度)の2つのモードが利用できる。トモシンセシスバイオプシーにおいても,2つのモードを任意に選択できるため,被ばく低減,検査時間にも配慮した手技が可能になる。
AMULET Innovalityの2Dの撮影線量について,従来より30%の線量削減を実現した新しい画像処理が,2015年10月の日本乳癌検診学会において発表された。今回のRSNA2015では,トモシンセシスに関して共同開発を行っている遠藤登喜子氏(国立病院機構名古屋医療センター)が,12月1日にArie Crown Theaterで「Comparison of Low Dose Tomosynthesis Plus Synthesized Mammography and Digital Mammography Alone for Breast Cancer Screening」と題した講演を行った。現在,トモシンセシス撮影のさらなる低線量化に向けた開発が進められている。
トモシンセシスのQC(精度管理)に関しては,先行するヨーロッパでの取り組みについて当地より講師を招き,2016年1月16日に大阪でセミナーを開催する予定であり,富士フイルムはトモシンセシスへのさまざまな取り組みをアピールした。
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