RSNA2013 AZE - ワークステーション
Phoenixの機能拡張や先進的なMRI解析機能を数多く紹介
2013-12-4
逐次近似画像再構成応用技術「iIR」
RSNA 2013[第2日目:12月2日(月)]
AZEブースでは,昨年のRSNA 2012で正式リリースとなったボリュームレジストレーションビューワ「AZE Phoenix」に追加された新機能や,3Dワークステーション「AZE VirtualPlace」で使用できるMRI用の解析機能が紹介された。加えて,ワークステーション上で実行可能な逐次近似画像再構成応用技術「iIR」(W.I.P.)を初めて発表。AZE社独自の各種解析機能とともに,来場者の関心を集めた。
●逐次近似画像再構成応用技術「iIR」(W.I.P.)
iIR(image-based Iterative Reconstruction)は,従来はCT本体でしか実行することができなかった逐次近似再構成を,ワークステーション側で応用する技術である。CTからワークステーションに取り込んだ画像データを順投影によりサイノグラムデータに戻し,その投影データに逐次近似画像再構成を応用して画像を再構成し直すという方法で,ノイズの少ない画像をポストプロセスで取得することができる。撮影画像のノイズを低減できるようになるため,撮影時の被ばく線量低減に貢献する。まずは被ばく線量が多いとされるCT Perfusionへの適応から開発が進められている。
逐次近似画像再構成が搭載されていないCTの画像に対して実行できるだけでなく,逐次近似画像再構成による画像に対しても同様の方法で実行することができるため,さらなるノイズ低減を図ることが期待される。iIRにより,逐次近似画像再構成が搭載されていないCT装置を使用している中小規模の病院やクリニック,低被ばく検査が求められる検診施設などでの利用が想定される。
iIRは,VirtualPlaceに搭載するソフトウェアとして提供するとともに,CTメーカーへのOEM供給も検討しているという。来春のITEM 2014での詳細な発表をめざして開発が進められている。
●DWI解析(一部FDA未申請)
現在,日本国内で注目の高まってるMRI画像解析のひとつに,“Computed DWI”がある。DWI撮像では,b値を高く設定すると悪性度の高い腫瘍ほど高信号を示すことがわかってきており,乳がんや前立腺がんの検出で利用されている。ただし,b値を高く設定するには高いスペックのMRIが必要で,実際には実施できない施設も多い。そこで,Computed DWIでは,任意の2つのb値(例えばb=0とb=1000など)で撮像することで,b値=2000の画像を想定して作成することができる。また,高いb値ではノイズが多くなってしまうことも問題であったが,Computed DWIではノイズを増加させることなく,目的のb値の画像を得ることができる。
DWI解析のもうひとつの機能として,ADCマップをヒストグラム解析する機能も紹介した(FDA未申請)。ADC値は,腫瘍学においては半定量的値として活用されており,ADC値が低いと,高い確率で悪性度が高いと言われている。AZEは,3Dワークステーションメーカーの強みを生かし,腫瘍を三次元的に抽出して,ヒストグラムを描出する方法を開発した。腫瘍の悪性度,治療の効果判定に用いるなど,読影支援ツールとして利用できる。
なお,DWI解析機能はMRメーカーなどへのOEM供給も検討されている。
●3D Mapping
3D Mappingは,軟骨の組織性状を評価し,変性の程度を定量化するソフトウェア。軟骨の組織は規則的な配列となっているが,リウマチなどにより変性が起こると,その規則性に変化が生じる。T1ρマップやT2マップにより,軟骨内の水やコラーゲン,グルコサミノグリカンを定量化し,三次元表示した軟骨にカラーマッピングを行う。異常組織を赤,正常組織を青で表示し,一目で変性の程度を把握できるため,検出やフォローに活用できる。膝の関節症は非可逆的な変化のため,早期発見・早期治療により,進行を止めることが重要となる。継続的なフォローが必要なため,被ばくのないMRIを用いることで,QOL維持に貢献する。
●Wash-out Map(FDA未申請)
Wash-out Mapは,腫瘍を造影して信号値が上がったあとに,どの程度wash-outするかを評価する機能で,従来のダイナミック造影解析ソフトウェアに搭載される。悪性のしきい値はピークからは−20%と規定されているが,評価結果を視覚化することで,腫瘍のどの位置が悪性度が高いと想定されるかが明瞭になり,生検における悪性度の高い部分の採取を支援する。
●4D Flow Analysis(W.I.P.)
最近,MRIのフェーズコントラスト法が,超音波のカラードプラに代わる定量的評価法として有望視されており,メーカー側でも解析結果を三次元的に表示できるようになっている。
その三次元的情報を,4D Flow Analysisでベクトル表示し,実際に血流がどのように流れていくかを観察することができるようになる。動脈瘤付近の血流の流れ方向を明瞭に描出できることで,治療方針の決定などへも貢献する。なお,正式発表は来春(2014年)を予定している。
●ボリュームレジストレーションビューア「AZE Phoenix」
放射線科医の読影負担軽減をめざして開発されたAZE Phoenixは,リリース後も進化を続けており,RSNA 2013では,新しい機能として,“バーチャルシリーズ”を紹介した。これは,特に多くのシリーズの画像比較が必要になるMRI画像の読影において有用性を発揮する機能で,画像上でスクロールするだけで,次々とシリーズを切り替えることができる。画面を分割したコマにT1やT2などシーケンスごとに画像を振り分けて,それぞれを連続的に読影したり,たとえば検査当日のデータをすべてインストールし,1画面ですべてのシリーズを連続で読影するといったことが可能になる。これにより,日常の読影業務のさらなる効率化,負担軽減を図ることができる。シリーズの順番などは自由に設定でき,Webブラウザのユーザーインターフェイスのように直感的な操作性で,ストレスなく読影を行うことができる。また,シリーズや撮影日が異なる画像を高い精度で位置合わせ可能なボリュームレジストレーション機能を適用することもできる。
また,AZE Phoenixは,一般的にPACSに搭載されている心胸郭比計測や,RECIST計測機能などの計測機能も充実させ,PACSビューアとして使用することも視野に入れたシステムとなっている。RECIST計測機能では,計測結果をレポートに貼りつけることができるだけでなく,レポートからPhoenix内のデータを検索することもできる。
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さらに近年は,膨大な院内データをいかに効率的・効果的に管理運用するかが課題となっているが,その解決方法のひとつにデータの圧縮がある。Phoenixでは,可逆圧縮(1/3)と非可逆圧縮(1/10)を使い分けてデータを圧縮することで,サーバの使用容量を大幅に抑えることができる。この画像圧縮法を活用し,Phoenixを院内のサブサーバとして,またはthinスライス用サーバとして利用する動きも始まっている。
加えて,Phoenixと併せて,ほかのサーバにもデータを蓄積する場合には,種類によってデータを自動的に振り分けて管理するデータマネジメント機能が,2013年8月より搭載されるようになった。