RSNA2012 AZE - ワークステーション
読影や画像解析の負担軽減・精度向上を図るビューワ,ワークステーションの機能を紹介
2012-11-27
VirtualPlace PHOENIX
RSNA2012 [第2日目:11月26日(月)]
AZEは,ボリュームレジストレーションビューワ「VirtualPlace PHOENIX」と,機能の追加,改良が行われたソフトウェア機能を中心にブースを展開した。
●まったく新しいコンセプトで開発された「VirtualPlace PHOENIX」を正式リリース
画像診断機器,撮影技術などの進歩により,増え続ける放射線科医の読影負担を軽減するため,ゼロから作り上げられたボリュームレジストレーションビューワ「VirtualPlace PHOENIX」(以下,PHOENIX)が,2012年11月より正式にリリースとなった。
AZEのPHOENIXは,必要な情報を,任意のレイアウトで,すぐに得られるようにした,読影に特化したビューワである。読影で重要な過去画像との比較は,従来であればPACSから対象患者の過去画像を呼び出し,比較する画像と同じ断面を探すといった読影準備の手間が膨大にかかり,読影作業の大きな負担となっていた。PHOENIXでは,このような読影環境を改善するため,わずかな時間で過去画像のボリュームデータを作成し,比較断面と同じ断面を切り出す瞬間断面位置合わせ機能を搭載。剛体・非剛体や,異なるモダリティ画像の重ね合わせも可能で,腫瘍サイズの比較も容易に行える。
また,国際標準ガイドラインに規定された,固形がんの治療効果判定のためのRECISTにも対応し,簡単に腫瘍径の計測,データベースへの登録などが行えるようになっている。また今後,腫瘍のセグメンテーションを自動で行う機能の搭載も予定している。
ユーザーインターフェイスにもこだわり,画面右上に検索窓を設け,患者氏名やID,検査の種類,撮影日などで簡単に画像を検索することができる。自動で優先順位を判断し表示されるため,迷うことなく患者検索を行うことができる。さらに,使用するOSを限定せず,Windows,Mac,Linuxなど,マルチOS対応も特長のひとつである。
●ソフトウェア機能の追加,改善で,臨床価値を向上
AZEのワークステーションにおけるソフトウェア機能では,“新・CT細血管解析”に,新しく“CABG解析機能”の追加が発表された。これは,冠動脈バイパス術後,データを受けると自動的にCABG解析を行うもので,バイパスグラフトと冠動脈を自動で認識し,バイパスグラフトを指定すると自動で末梢まで抽出,CPR表示が行われる。分岐検索機能も盛り込むなど,他社との差別化が図られている。日本循環器学会ガイドラインに示されている,冠動脈バイパス術後に起こりやすい吻合部の狭窄の確認が主な目的であり,MPRを任意断面で同時に観察できるようにするなど,特化した機能となっている。日本国内では2013年春以降の正式リリースを予定している。
AZEワークステーションの“大腸解析”は,カリフォルニア大学サンフランシスコ病院の医師のコンサルティングを受け,機能の追加・強化を図っている。今回,日本よりも圧倒的に多くのCT Colonographyを実施している米国の現場からのリクエストを受け,内視鏡モードの視野を広角化した魚眼レンズモードを搭載。ひだの裏側に隠れた病変も,見逃すことなく検出することができる。内視鏡とMPRを連動させ,同時に観察できる機能も特長である。
また,魚眼レンズモード表示にはゆがみがあり,実際のポリープの形状とは異なってしまうため,ポリープ観察機能も強化。ポリープ近傍の3D画像(元画像とVR像の組み合わせ画像)を作成することで,ポリープ周辺の構造を正確にとらえることができる。操作は簡単で,魚眼レンズモード上でポリープをダブルクリックして注目点を指定し,ポリープ観察のボタンを押すだけである(日本でのリリースは2013年以降を予定)。
また,AZEワークステーションの“多次元解析”は,Dual Energy CTによるデータを多次元ヒストグラムにし,ヒストグラム上のROIを保存することで特定の物質を抽出する。これは,Dual Energyの一般的な解析であるが,現在,Dual Energy CTを用いない,Dual Energy解析の研究開発を行っている。AZEのレジストレーション技術を活用して,形状の変わらない手足などであれば,線質を変えて2回撮影した画像を高精度に位置合わせをすることで,Dual Energy解析を行うという。この機能が製品化されれば,Dual Energy CTを持たない施設でも,Dual Energy解析が可能となることが期待される。