ITEM2021 千代田テクノル ブースレポート
独自のセルフシールド設計に基づく定位放射線治療システムや個人線量計,密封小線源治療の新アプリケータなど放射線治療に貢献する製品群をPR
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2021-5-13
千代田テクノルブース
千代田テクノルは,「放射線の安全利用技術を基礎に人と地球の安心を創造する」ことを企業理念とする。ITEM2021では,その理念に基づき,放射線治療の質と精度を向上させる製品群を展示した。2020年に発売された頭部・頭頸部専用定位放射線治療システム「ZAP-X ラジオサージェリーシステム」(ZAP-X)やMacroMedics社製患者固定システム,病変識別マーカ「Gold Anchorマーカ」などを紹介。また,需要が高まっている眼の水晶体用線量計「DOSIRIS」や個人線量計「ガラスバッジ」などに対しては,来場者から熱心な質問が寄せられた。さらに,エレクタ社製の密封小線源治療装置「フレキシトロンHDR」には,最新のハイブリッド治療対応アプリケータが登場した。
●導入ハードルを低減した頭部・頭頸部専用定位放射線治療システム「ZAP-X ラジオサージェリーシステム」
頭部・頭頸部専用定位放射線治療システム「ZAP-X ラジオサージェリーシステム」(ZAP-X)は,独自のセルフシールド設計に基づいて構築され,大掛かりな遮蔽構造が不要なことに加え,治療装置自体も一般の放射線治療装置より比較的低価格なため,導入のハードルを下げたのが最大の特長である。さらに,作成者の技量に依存せず,安定した治療計画が容易に作成できることから,地域を問わず有用な治療が受けられる。また,治療計画に要する時間も短縮され,医療従事者の労力を低減する。
精密かつ急峻な線質勾配を実現するほか,治療中の体動に対し自動位置補正を行う。また,リアルタイム透過線量検証システムにより,照射線量の誤差を防止する。欧米や中国などですでに稼働しており,日本国内では2021年に稼働開始予定である。
●患者負担を軽減する定位放射線治療用「ダブルシェル固定システム(DSPS)」
MacroMedics社製定位放射線治療用「ダブルシェル固定システム(DSPS)」が展示された。「使いやすく,患者に優しい」をコンセプトに開発された患者固定システムで,特殊な熱可塑性材料で顔側/後頭部側の2枚のマスクを患者ごとに作成し,頭頸部を挟みこんで固定する。長時間の治療でも患者の負担や不快感を軽減する上,複数回にわたる治療の間,再現性を維持することが可能である。
●侵襲性が少なくMRIでも認識可能な病変識別マーカ「Gold Anchorマーカ」
「Gold Anchorマーカ」は放射線治療時の病変識別マーカで,刺入針を用いて体内臓器に留置する。用途に合わせてストレート型または折りたたみ型での留置が可能で,組織細胞への付着性に優れており,位置ずれが生じにくく脱落のリスクが少ない。また,挿入に使用するニードル経が小さく,留置時の出血・感染のリスクが少なく低侵襲である点も特長である。さらに,99.5%の金と0.5%の鉄の合金製のためMR画像でも明瞭な描写が可能なほか,独自設計によりアーチファクトも抑制する。ニードル長さ(152mm,202mm)とニードルサイズ(22G,25G),マーカの長さ(10mm,20mm)のバリエーションにより,4種類の規格を揃えている。
●今注目の個人線量計や眼の水晶体用線量計をアピール
千代田テクノルは,個人線量計「ガラスバッジ」や「ガラスリング」,眼の水晶体用線量計「DOSIRIS」を用いた個人放射線被ばく線量測定サービスを行っている。会期中,被ばく線量測定に関連する講演が行われたこともあり,ブースには多くの来場者が訪れた。
国際放射線防護委員会(ICRP)のソウル声明による勧告の流れを受け,日本国内でも2021年4月から眼の水晶体の等価線量限度が引き下げられ,3mm線量当量による眼の水晶体の等価線量の管理が加わることになった。それに伴い,同社で取り扱う眼のDOSIRISの需要が高まっている。フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)が開発したDOSIRISは,防護メガネに直接取り付けが可能で,検出部にTLD素子を採用。目の近傍に装着し,3mm線量当量を測定することで,防護メガネで低減された眼の水晶体の等価線量を算定できる。視界に入らない位置に装着でき,微調整も可能なほか,ヘッドバンドでの装着も選択可能である。
ガラスバッジはバラツキが少なく高い測定精度を持ち,環境に優しいリサイクル体系でのサービス提供を行っている。男性は胸部,女性は腹部に装着し,不均等被ばくの場合は頭頸部やプロテクタの内側などにも装着する。指に装着するガラスリングは,防水性に優れ手洗いや消毒が可能である。大きさを問わないフリーサイズで,装着感の良い柔らかい材料を使用するなど利便性が良いことも特長である。
●全方位からX線を防護するX線防護メガネ「EYECARE XRAY」
X線防護メガネは,フレームの鉛含有量や材質による重量の差,形状などについてさまざまな特徴を持つ製品を各メーカーが開発,展開している。今回展示された「EYECARE XRAY」は,レンズを折り曲げ加工し上下左右の隙間から入る散乱線をカットするほか,フレーム上面内側やパッド内部に鉛シートを取り付け,細部に至るまで防護性能を保持する。通常のメガネの上からも着用可能で,弾力性のあるテンプルが頭部を優しく包み込み,長時間快適に使用できる。さらに,テンプルは内側に曲げて調節することができる。
●密封小線源治療装置「フレキシトロンHDR」対応のハイブリッド治療用アプリケータが登場
エレクタ社製の密封小線源治療装置「フレキシトロンHDR」も紹介された。フレキシトロンHDRは,Ir-192線源を使用した高線量率リモートアフターローディングシステムで,用途に合わせて装置チャンネル数を10,20,40から選択できる。線源送り出し方式による線源移送で,停留位置精度は±0.5mmと高精度な治療を実現する。また,コンパクトサイズで重量も軽く,取り回しがしやすいのが特長である。
近年の各種ガイドラインでは局所性子宮頸がん治療として,MRI/CT画像を用いた三次元治療計画に基づく三次元画像誘導小線源治療が推奨され,さらに膣内照射とニードル針挿入による組織内照射を併用したハイブリッド治療が主流になりつつある。今回,ハイブリッド治療に対応するアプリケータとして開発されたアドバンストガイネコロジカルアプリケータセット「Venezia」が初展示された。Veneziaは,オボイドに開いている穴を通じて平行方向,斜め方向にニードルを挿入し,子宮傍結合組織に到達する。オボイドの穴の位置に記号が振ってあり,照射のたびに決まったニードル位置を確保できる。さらに半円形のオボイド2本をはめ込むとリング状になり,リングによる線量分布が得られることで,標的体積(ターゲットボリューム)への高線量照射とリスク臓器への線量抑制を両立する。MRI/CTに対応可能な樹脂製であり,複数のサイズラインアップを揃えている。また,適応症に合わせて膣や会陰部へのニードル挿入も選択でき,1つのアプリケータで複数の適応症に対応できる。
●お問い合わせ先
社名:株式会社千代田テクノル アイソトープ・医療機器事業本部 医療機器営業部
住所:〒101-0021 東京都千代田区外神田2-16-2第2ディーアイシービル6階
TEL:03-3252-1691
e-mail:medical@c-technol.co.jp
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