島津製作所,同社製品×京都伝統工芸の創業150周年記念コンセプトモデルを製作
大阪・関西万博の関西パビリオン京都ゾーン「ICHI-ZA KYOTO」に展示
2025-3-25
島津製作所は,創業150周年記念事業の一環として,同社製品と京都の伝統工芸技術を融合したコンセプトモデル4機種を製作した。液体クロマトグラフ「Nexeraシリーズ」,ガスクロマトグラフ「Brevis GC-2050」,回診用X線撮影装置「MobileDaRt Evolution MX8 Version」,頭部・乳房用TOF-PET装置「BresTome」に,伝統的な工芸品である西陣織や京友禅,京漆器,金継ぎなどを施している。
同社は3月31日に創業150周年を迎える。創業者の島津源蔵は仏具職人でありながら,京都の舎密局で西欧の理化学について学び,同社はレントゲンやクロマトグラフを始めとする精密機器のメーカーとして歩んできた。今回の4機種は「和魂洋才」と呼べる同社の150年の歴史を体現している。「Craftech」をコンセプトに,機能的な価値の訴求だけでなく,ブランドや製品に愛着が生まれるように,色や柄,素材などにもこだわったデザインとなった。
なお,同社は2019年に京都府と「京都地域活性化包括連携協定」を締結しており,これまでにも京漆を使用したアロマデフューザーの制作などに取り組んできた。今回製作したコンセプトモデルを2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の関西パビリオン京都ゾーン「ICHI-ZA KYOTO」に展示留守。展示期間は6月16日(月)~22日(日)。

左の液体クロマトグラフ「Nexera シリーズ」は金継ぎによって樹脂部品を接着している。右のガスクロマトグラフ「Brevis GC-2050」にはAI画像生成によって独自の文様を施している

「五行思想」から着想した5種類のカラーバリエーションを展開

回診用X線撮影装置
「MobileDaRt Evolution MX8 Version」
四季をイメージして4色展開。側面には京友禅を使用

頭部・乳房用TOF-PET装置「BresTome」
京友禅のクッションカバーは和の文様でピンクリボンを表現
コンセプトモデル製作に携わった企業・職人
1) 西陣織 「有限会社 フクオカ機業」
明治35年,創業者である福岡金次郎が現所で福岡金次郎商店を創業,常に時代を先駆ける織物を開発
2) 西陣引箔「有限会社 西村商店 伝統工芸士 西村直樹」
創業大正13年,京都の西陣で金糸の製造を継承
3) 金継ぎ「金継師 番浦肇」
1994年独立以降,漆器の加工を下地から塗り,加飾まで引き受けている
4) 京七宝「有限会社 ヒロミ・アート 野村ひろみ」
七宝作家野村ひろみを中心に,京都嵐山の地で伝統工芸のひとつ「京七宝」を製造販売する手作り工房
5) 京漆器「下出蒔絵司所 下出祐太郎」
京都産業大学名誉教授。明治45年,初代祐顕が京都市下京区で開業。現代の名工・卓越技能章,令和5年春の叙勲 瑞宝単光章,京都市芸術振興賞を受賞
6) 鎚起「浅野美芳鎚起工房 浅野美芳」
代表の浅野氏は約150年間続く釜師,6代目高木治良兵衞。彫金や着色,鋳造など金属工芸の技法にも練達しており,文化財や,一般所有品までの修復・復元作業などを手掛けている。令和5年黄綬褒章を受賞
7) 京くみひも「有限会社 昇苑くみひも」
1948年,京都宇治の地で創業。時代に合わせた組紐の役割を,従業員の新しいアイデアで実現
8) 京友禅「木村染匠株式会社 木村信一」
昭和21年に,京都の中心御所南で,手描京友禅のキモノを創作するために創業。令和6年旭日単光章受賞
9) 絹織物「株式会社伊と幸」
1931年創業以来,絹一筋に白生地メーカーとして,着物の原点である絹織物から和装業界に貢献
10) 経師「株式会社大入 二代目 大入百太郎」
書写や写経から始まり,変わりゆく時代の需要に合わせ,装幀,修復,保存など,その職種は多岐にわたってきた
関連サイト
島津製作所 技と業
●問い合わせ先
(株)島津製作所
https://www.shimadzu.co.jp/