ITEM2023 バリアン メディカル システムズ ブースレポート
“Comprehensive Cancer Care”を実現するソリューションとして「Zero Click Auto Contouring」を中心にアピール
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2023-5-2
バリアンメディカルシステムズブース
バリアンメディカルシステムズ(以下,バリアン)は,今回もSiemens Healthineers(以下,シーメンス)と共同でブース出展を行い,両社共通のPurposeとして「We pioneer breakthroughs in healthcare. For everyone. Everywhere. ヘルスケアを,その先へ。すべての人々へ。」を大きく掲げて展示を行った。バリアンがシーメンスのグループとなって以降,両社による放射線治療に関連するテーマとして“Comprehensive Cancer Care”が掲げられ,包括的ながん治療へのアプローチをめざした取り組みが行われてきたが,今回,その具体的な成果として,人工知能(AI)の技術を活用した「Zero Click Auto Contouring」が紹介された。これは,CT撮影後に「ゼロクリック」でのコンツーリングを可能とするもので,両社のシナジーによって実現したソリューションとなっている。ブースでは,CT撮影からAuto Contouringまでの実際の流れや,導入施設での使用経験などがモニタで紹介された。
また,新製品として,画像誘導放射線治療における体表面モニタリングシステム「IDENTIFY System」が発表された。IDENTIFY Systemによって患者の治療中の体動を管理することで,より安全・正確な治療が可能となる。
このほかブースでは,エビデンスの蓄積が進んでいるAIを用いた即時適応放射線治療ソリューション「ETHOS Therapy」や,同社のフラッグシップの放射線治療装置「TrueBeam」,小線源治療装置「BRAVOS」などが紹介された。BRAVOSでは新しいアプリケータが追加され,より高品質な治療が可能となった。また,TrueBeamの最新バージョンであるTrueBeam 3.0や,放射線治療情報システム「ARIA OIS」および放射線治療計画システム「Eclipse」のVersion 17.0では,サイバーセキュリティ対策への強化がアナウンスされた。
■コンツーリングに伴うデータフローの自動化を実現した「Zero Click Auto Contouring」でシーメンスとのシナジーを強調
Comprehensive Cancer Careにおけるバリアンとシーメンスのシナジーの成果として,今回の展示で特に強く打ち出されたのが,Zero Click Auto Contouringである。これは,コンツーリングに伴うデータフローを自動化したソリューション。シーメンスのCT装置で撮影されたデータが,事前に設定されたプリセットに従って放射線治療計画支援システム「syngo.via RT image Suite」(シーメンス社製)に転送されると,事前に紐付けたテンプレート設定に従ってAI技術を用いて自動で臓器のコンツーリングが行われ,作成されたRT StructureデータがバリアンのEclipseに自動で転送される。従来は人の手を介して行っていた複数の作業が,まさにゼロクリックで実施されるためワークフローが改善するほか,部位によってはマニュアルで1時間以上かかっていたコンツーリングが数分で完了するなど大幅な時間短縮にも貢献する。すでにZero Click Auto Contouringを導入している施設からは,コンツーリングに伴う手間や時間が8割ほど削減されているとの報告もあり,今後の臨床現場への普及が期待される。
■適応放射線治療のトータルソリューション「ETHOS Therapy」のコーナーでは,導入施設での診療実績などを紹介
ETHOS Therapyは,AIを活用したAdaptive Intelligenceなワークフローによる即時適応放射線治療が可能なソリューションである。放射線治療装置「Halcyon」をベースに,治療計画を行うコンソールや適応放射線治療のあらゆるデータを管理するマネージメントシステムなどで構成されている。適応放射線治療は,治療の過程で生じた腫瘍の位置や形状の変化に合わせて,毎回の治療ごとに放射線治療計画を再計画し最適化を図ることで,より精度の高い放射線治療を提供する手法であるが,再計画には長い時間と労力を要することが課題となる。そこで,ETHOS Therapyでは,AIを応用したコンツーリングの機能とGPUベースのintelligent optimization engine(IOE)を搭載し,日々の位置合わせに用いるコーンビームCT(CBCT)データと治療計画のテンプレートを活用することで,強度変調放射線治療(IMRT)や強度変調回転放射線治療(VMAT)の治療計画をコンソール上で自動作成することを可能とした。これにより,日々の放射線治療の中で患者がカウチ上に寝た状態のまま,再治療計画と治療実施が可能となり,患者中心の個別化医療の促進に貢献する。
国内では現在,京都大学病院,九州大学病院,鹿児島大学病院の3施設でETHOS Therapyが稼働しているが,なかでも鹿児島大学病院での実施件数は,導入から約1年で100症例に上る。今回の展示では,導入施設からの報告として,ETHOS Therapyを用いることで即時適応放射線治療が15分程度で施行できることや,治療における有用性などが紹介された。
■高品質な放射線治療の実施に貢献する体表面画像誘導放射線治療(SGRT)ソリューション「IDENTIFY」を発表
体表面モニタリングシステムIDENTIFYは,治療計画用CT撮影時の呼吸管理や,放射線治療時のセットアップのサポート,治療中の患者の体動のモニタリングが可能なシステムである。治療計画CT室用のIDENTIFYでは,患者固有の呼吸パターンをモニタリングしてCTデータを収集。また,治療室用IDENTIFYには3台の高精度ステレオビジョンカメラが搭載されており,サブミリメートルの精度でリアルタイムに患者の体表面情報を追跡・表示することができる。
IDENTIFYは,ARIA OISのプラットフォーム上で使用できるため,ARIA OISから患者情報を取得できるほか,TrueBeamをはじめとする同社の外部放射線治療装置とも併用可能で,統合された同社の一連のシステムとして使用できる。また,ノンコプラナー照射に対応しており,通常の放射線治療はもとより,深吸気息止め照射(DIBH)や「HyperArc」〔主に転移性脳腫瘍に対する定位手術的照射(SRS)を短時間かつ効率的に行えるソリューション〕にも対応する。
■「CamScale」位置確認システムとアプリケータを用いて高品質な小線源治療を提供する「BRAVOS」
アフターローダシステムBRAVOSは,EclipseやARIA,TrueBeamなどの同社製品との親和性が高く,スムーズな放射線治療全体の運用が可能な点が特長である。小線源治療計画装置「BrachyVision」がEclipse内に統合されているため,Eclipseを用いた小線源治療計画が可能。特に同社の外部放射線治療装置を導入する施設では,共通の操作性による小線源治療計画が可能となり,スムーズな導入が期待される。また,Eclipseを利用した治療計画と輪郭描画の同時進行も可能となり,計画時間が短縮され,患者負担の軽減にも貢献する。さらに,CamScale位置確認システムを用いることで,操作者は遠隔操作によりソースケーブルとダミーワイヤ先端の位置精度検証,校正,記録までをシンプルな操作で行うことができる。
BRAVOSはアプリケータが拡充されているが,最近ではマルチチャネルシリンダーの有用性に関心の高い施設が増えている。マルチチャネルシリンダーは,中央だけでなく周囲にも複数の線源を留置できるため,リスク臓器を避けて腫瘍のみにより高線量を照射することが可能となり,高品質な治療の提供に貢献する。
●お問い合わせ先
社名:株式会社バリアン メディカル システムズ
住所:141-0032 東京都品川区大崎1丁目11番1号 ゲートシティ大崎ウエストタワー
TEL:マーケティング部 TEL 03-4486-5235
URL:https://www.varian.com/ja