ITEM2016 JVCケンウッド ブースレポート
TOTOKUのモノクロ・静止画を中心とした医用系モニタ技術とJVCのカラーおよび動画技術の融合をテーマに,未来の医療への新しい価値を提案
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2016-4-26
JVCケンウッドブース
JVCケンウッドは,TOTOKUとJVCそれぞれの固有技術を融合して新しい技術を生み出し,未来の医療の領域に新たな価値を提案することをテーマに展示を行った。それを示す進化の象徴として「Powered by JVC」という新しいロゴマークをブース内に掲げ,「画像診断支援ディスプレイソリューション」「サージカル支援ソリューション」の大きく2つのコーナーに分けて新技術などをアピールした。また,今回新たに発表された製品として,TOTOKUとJVCのそれぞれの技術の融合により生まれた「視線計測装置」(参考出品)と24.1型液晶病理用モニタ「JD-C240」が注目を集めた。(4月15日取材)
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■画像診断支援ディスプレイソリューション
画像診断支援ディスプレイソリューションのコーナーでは,モノクロと静止画をベースとしたTOTOKUブランドの医用系モニタを中心に展示を行った。なかでも注目を集めたのは,マルチモダリティ画像表示に対応するマンモグラフィ画像表示用21.3型5MPカラーディスプレイ「CCL550i2」で,FDAからブレストトモシンセシスおよびデジタルマンモグラフィ表示用として認証を取得したことなどがアピールされた。
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●CCL550i2
CCL550i2は,2015年に発表された世界初の5MPカラーディスプレイで,FDAからはブレストトモシンセシスおよびデジタルマンモグラフィ表示用として,また,日本乳がん検診精度管理中央機構(精中機構)からはマンモグラフィ診断適合ディスプレイとして認定された。5MPモニタをカラー化することでマルチモダリティでの最適な画像表示が可能となり,モノクロ画像についても5MPモノクロモニタと同じ165μmのピクセルピッチにて微小な石灰化をより明瞭に描出することができる。これを実現しているのが“ダイナミックガンマ調整機能”で,画面内に混在するカラー画像とモノクロ画像をピクセル単位で自動判別し,カラーはガンマ2.2,モノクロはDICOM part14に準拠することで,それぞれに最適な階調・輝度での表示が可能となる。このほか,“テキストゲインコントロール機能”では,レポートなどのテキスト表示面積が大きくなると輝度が自動で抑制されるため,目の負担軽減に貢献する。
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●MS55i2
同じくFDAからブレストトモシンセシスおよびデジタルマンモグラフィ表示用として認定された,5MPの21.3型モノクロディスプレイ「MS55i2」が紹介された。同社の特許技術である“サブピクセル独立ドライブテクノロジー”を搭載し,3つのサブピクセルそれぞれを独立駆動することで,水平方向(サブピクセル方向)の画素ピッチが1/3となって解像度が向上し,超高精細な画像表示が可能となる。
●放射線科読影用カラーディスプレイ3製品にもダイナミックガンマ調整機能とテキストゲインコントロール機能を搭載
放射線科読影用カラーディスプレイ3製品(21.3型2MP「CCL258i2」,3MP「CCL358i2」,30型6MP「CCL650i2」)に,CCL550i2の機能であるダイナミックガンマ調整機能とテキストゲインコントロール機能が搭載され,今回初めて展示された。2つのモニタを並べてダイナミックガンマ調整機能のONとOFFの画像が比較されたほか,テキストゲインコントロール機能により表示面積に合わせてテキスト部分の輝度が自動で調整されることが紹介された。
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●新しい医用ディスプレイ精度管理クラウドサービス「PM Medivisor Cloud」
今回,新たに同社が運営する医用ディスプレイ精度管理クラウドサービスPM Medivisor Cloudが紹介された。ディスプレイは病院内にてサーバ管理されるのが一般的であるが,同社では従来の院内管理サーバソフトPM Medivisorの機能をクラウドサービスに移行。これにより,病院内でサーバの障害対応やソフトウエアのアップデート作業などが不要となりサーバ管理者の負担軽減と保守コストの削減が可能となるほか,インターネット環境下であれば病院外からロケーションフリーで管理することができる。
■TOTOKUとJVCのそれぞれの技術の融合により生まれた新技術
●視線計測装置
JVCの視線計測技術を胸部X線画像における注視点解析に応用した「視線計測装置」が参考出品された。熟練した読影医と学生の胸部X線画像に対する注視点を測定・可視化することで,それぞれの読影時の傾向を確認可能であり,将来的には読影教育システムへの応用が期待されている。ブースでは,肺がんの検出に要した時間は,学生の約8秒に対して読影医は約2秒であったことがデモンストレーションされた。
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●病理用24.1型液晶ディスプレイ「JD-C240」
新製品として病理用24.1型液晶ディスプレイ「JD-C240」を,業界に先駆けて発表した。JVCが培ってきたカラー画像処理技術を駆使して究極の色再現力を追究しており,独自の三次元画像処理(3DLUT)とアルゴリズム(XYZ処理)によって高精度なカラーマネジメントを実現している。理想的な色階調と比較し,カラーパッチの色差(⊿E)を一般的なモニタの⊿E5以上に対して⊿E1以内としており,病理検査における染色標本の色を忠実に再現する。今後増加が予想される遠隔病理診断への貢献が期待されている。
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■サージカル支援ソリューション
サージカル支援ソリューションコーナーでは,「チーム医療を支える映像・音声ソリューション」として,JVCブランドの製品を中心とした展示が行われた。
●4Kカメラシステムと4K対応8MPカラーディスプレイ
JVCが放送用カメラなどで長年培ってきた映像技術を医療に展開して開発されたカメラ/ビデオユニット分離型4Kカメラシステムが参考出品された。カメラヘッドとコントロール部分を分離した構成としたことでカメラヘッドが小型化されているほか,大判イメージセンサ(Super35mm)の採用により高感度な4Kカメラでは高精細な映像を撮影でき,さらにはその映像を本体ユニットのSDカードに記録することもできる。また,4K対応8MPカラーディスプレイ(参考出品)にはカラーマネジメント機能が搭載されており,高解像度な画像表示を実現している。ブースでは,手術室向けソリューションとしての活用などが提案された。
●デジタルワイヤレスインターカムWD-D10シリーズ
手術室・救急病棟のスタッフのコミュニケーションツールとして,シンプル&コンパクトな構成でありながら高性能なWD-D10シリーズを展示した。少人数での使用を目的としており,トークボタンを1回押すだけでハンズフリーで最大10人での同時通話が可能となっている。このため,手術中など両手がふさがっている状態でも使用可能なほか,局部麻酔の患者に手術中の会話を聞かれたくない場合などにはささやき声でもクリアな音声で会話が可能となるなど,術中のさまざまな場面で有用性を発揮する。
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●お問い合わせ先
株式会社JVCケンウッド
住所:横浜市神奈川区守屋町3-12
TEL:045-450-1890
URL:http://www.jvckenwood.com/