バイエル ソリューションレポート

2025年1月号

金沢医科大学病院 Centargoを導入して1年半経過後の使用感について ーこれまでやっていたことが、必要なくなったー

放射線部 CT担当の皆様

放射線部 CT担当の皆様

 

金沢医科大学 放射線科科長 放射線部部長 南 哲弥先生

金沢医科大学
放射線科科長
放射線部部長
南 哲弥先生

金沢医科大学病院 診療放射線技術部門 副技師長 長田 弘二先生

金沢医科大学病院
診療放射線技術部門
副技師長
長田 弘二先生

金沢医科大学病院 診療放射線技術部門 主任 庵 緋沙子先生

金沢医科大学病院
診療放射線技術部門
主任
庵 緋沙子先生

金沢医科大学病院 看護部 師長 舩本 昌枝先生

金沢医科大学病院
看護部
師長
舩本 昌枝先生

 

看護師と診療放射線技師の役割

庵 技師 CT室担当の診療放射線技師(以下、技師)は各部屋に1人。撮影の他に、造影剤の準備/補充/検査情報管理/追加検査の電話対応を行なっている。ライン確保までが看護師の役割で、Centargoに繋ぐところから技師の役割になる。

舩本 看護師長 看護師の役割は、血管確保/検査中の患者観察、アレルギー反応を予測しながら検査が終わるまで見守ること、その他の部屋の患者介助。さらに、検査後のラインを残す場合には、生理食塩水(以下、生食)で陽圧ロックをする役割がある。現在、この業務を1人で担当している。

南 教授 看護師は、各CT室を跨いで複数業務を担当しており、こちらで造影したら、次の部屋で患者の介助など、様々な業務がある。移動して複数の部屋を見守りながら、多方面に注意を向けなければならない。

役割分担

 

業務の変化について

長田 副技師長 従来のインジェクタとCentargoは、腹部ダイナミック検査時の腹部大動脈CT値、肝臓実質のCT値を比較しても遜色はない。しかし、検査効率や使い勝手で比較するとCentargoは、確かに業務効率、スループットが向上している。従来のシリンジ製剤を使用した場合は、Centargoより様々な作業、ひと手間かかっていることに気づいた。

庵 技師 これまではシリンジ製剤と延長チューブをセットし、シリンジ製剤のエアを抜き、血管確保したルートに接続するなどの作業が必要あった。しかし、Centargoでは看護師がライン取り、自動でエア抜きされたCentargoの螺旋チューブに繋ぎ、本体の生食排出ボタンを押すことでエア抜きが終わる。今までは体重を確認した後、10数種類の中から、使用するシリンジ製剤を選択していた。しかし、その必要もない。始業時にセットした造影剤を終日連続使用するシステムであるため、高濃度造影剤を1つ選択するだけで良い。また、急にデュアルチューブを使った検査を行いたい場合や、急遽、生食で後押しをしたい場合でも、Centargoの場合はそのまま気にせず、時間のロスなく、生食の後押しや同時注入ができる。

舩本 看護師長 看護師は、問診で体重などの情報が間違ってないかを確認し、その後にライン確保の準備をする。そのため、時間的に余裕がない。
例えば、心臓検査の場合には、デュアルの延長チューブを準備する。その際、ルート内のエアを手動で抜く。当院では三方活栓を使用するため、どうしても接続部分にエアが溜まりやすい。その部分のエアを抜くのに手間がかかる。生食の用量も、検査の種類、小児か成人かによって異なり、さらに用意する物品も異なる。物品を1つ1つ確認してからの作業になる。しかし、Centargoの場合は、どのような検査においても短い50cmラインを作成するだけであるため、作業効率の差はとても大きいと感じられる。これらの要因によって、Centargoの導入後、CT室の看護師配置人数は2人から1人に低減できた。

看護師の業務変化

 

造影CTにおける、看護師の1番重要な役割、責務

舩本 看護師長 看護師は、1)造影CT検査のライン確保、2)造影CT検査中の患者観察、3)副作用が発生した場合の患者の初期対応が主な役割である。「過去に造影検査をしたことがあるから大丈夫」と言われる患者も多い。そのため、看護師は「アレルギー反応は、複数回目に突然起こる可能性がありますよ」と説明を行い、検査前後に水分を十分とるようにお願いしている。患者の中には、検査前は「絶食」と言われると、水分まで摂取されない方がおられる。その為、水分摂取は可能であることを患者に伝えている。さらに、同日に内視鏡検査の予定がある場合、絶飲食になっていることもあるため、その他の検査の情報を確認する必要がある。造影CT検査後に内視鏡検査が予定されている場合は、検査後に水分摂取を行ってはいけないため検査前に丁寧に確認することを心がけている。「シリンジ製剤を使用する場合には、様々な要因で時間の余裕はない。」しかし、Centargoを導入してから、これまで以上に患者の介助や事前に話を聞いたりする時間の余裕ができている。さらに、患者に副作用が出た場合、以前は看護記録を記載する時間的余裕を作るのが難しかった。しかし、今は、すぐに看護記録へ詳細なレポートが書けるほど、時間に余裕ができた。

南 教授 患者の立場では、いちばん物事を聞きやすく、ちょっとしたことでも訴えをしやすいのが看護師であると思う。技師よりも、おそらく看護師の方が、微妙な感想も含め、訴えや、会話、コミュニケーションのハードルが低くなる。なるべく長く患者を見てあげられる事はとても大事である。

実際に使用した感想(看護師)

舩本 看護師長 看護師は、Centargoに直接触ることはないが、従来のインジェクタで行っていた作業を行わなくても検査が安全に行え、終了できると感じている。
例えば、1)検査前のライン作成、2)検査後のライン留置のための陽圧ロックが挙げられる。
当院では、検査前のライン作成の基本準備は耐圧チューブ1本と22G留置針を使用する。チューブ内のエア抜きを手動で行い、検査ラインの準備が完了する。しかし、生食の後押しを行う検査の場合は、シリンジに生食を詰めるという作業工程が追加される。そのため、手間と時間がかかり、ライン作成の煩雑さを感じる。
しかしCentargoでは1種類のラインで全ての検査に対応できる。そのため、検査毎に作成するラインの煩雑さがない。
検査後のライン留置のための陽圧ロックは、生食シリンジ(10mL)を1本使い、耐圧式ポート(CVポート)の場合は、10mL を2本使う。当院では、病棟や外来(診療科)でラインを入れてきた患者は、検査後、生食でラインを留置したままの状態で病棟、診療科へ戻ってもらう。このような場合は、Centargoのタンク内に貯蔵されている生食を利用し、陽圧ロックかける。追加で生食シリンジ(10mLシリンジ)を使用することなく、作業効率の向上が見込める。
生食の注射器を変える際には、何回も消毒をしなければいけない。しかし、Centargoはその作業も必要なく、患者と接続したラインは閉鎖状態で作業ができる。検査の時のみ生食を使用するのではなく、看護師も常に生食を利用でき、本当に手間のかからないシステムと感じる。
作業の数だけエラーが生じるので作業ステップが少ないと当然のようにエラーが少なくなる。ライン作成時のエラーを防ぐため、ラインセットの種類毎にマニュアル(画像資料)を作成し、マニュアルで確認しながら準備していた。しかし、Centargoは、決まった1種類のみのラインを作成するだけで新しいスタッフへのライン作成教育も簡単になっている。

従来型インジェクタとCentargoの必要物品の違い

 

1年間使用した、率直な感想

造影CTはあくまでも検査であるため、エラーが起こってはいけない。従って、普通に終わって当たり前だが、不幸にしてその当たり前ではないことも起こりうる。当然ということをどれだけ踏襲できるか、その時にどれだけ貢献できるかを考えた場合、ステップが少ないインジェクタの方が、当たり前のことを当たり前にできる可能性が高くなる。Centargoを導入しスタッフの業務効率と患者ケアの質が向上していることに満足している。

(2024年10月25日取材)

管理医療機器 / 多相電動式造影剤注入装置
販売名 / Centargo CTインジェクションシステム
認証番号 / 302AABZX00091000

管理医療機器 / 造影剤用輸液セット
販売名 / Centargo ディスポーザブルセット
認証番号 / 303AABZX00003000

 

金沢医科大学病院外観

金沢医科大学病院外観

 

インタビューの様子はこちらから(動画)

 

【製品に関する問い合わせ先】
バイエル薬品株式会社 ラジオロジー事業部
TEL 0120-609-040
https://radiology.bayer.jp/

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