【File 1】グッドマン:FileMaker専門スタッフをそろえた開発体制で現場のニーズに迅速かつ柔軟なサービスを提供するGOODNET
2013-2-28
GOODNET
(株)グッドマンは,カテーテルなどの消耗品や検査機器を販売する一方,1999年から循環器DICOM動画像システムである「GOODNET」シリーズを販売し,循環器部門のシステム化にいち早く取り組んだパイオニアである。現場のニーズに応えて,柔軟かつ迅速に対応することをポリシーとして,心臓カテーテル検査の検査台帳やレポーティングシステムの開発にFileMakerを早い段階から採用している。開発にあたっては,FileMaker認定技術者を置いた専門部署を設けるなど,FileMakerに特化した開発体制を取っており,その製品開発力が認められて,2012年7月にマイアミで行われたファイルメーカー社のDeveloper Conferenceで,「2012 FileMaker Solution Excellence Award」を受賞した。臨床のニーズに的確に対応するGOODNETの現状を紹介する。
●いち早く動画像のネットワーク化を手掛け,循環器部門のシステム化を推進
グッドマンは,1975年,心臓の血管内治療用のカテーテルなど関連デバイスの販売代理店としてスタート,その後,日本独自のニーズに応えるためカテーテルなどの自社開発・製造を手掛け,循環器領域の製品やシステムの開発,製造,販売を行う企業として発展してきた。 ヘルスケアIT事業部は,循環器の動画像をデジタル化しネットワークで管理,運用する「GOODNET」の開発・販売部門として2000年に発足した。GOODNETは,それまでCDなどで行われていたデータ管理をネットワーク化するシステムとして,循環器部門でシェアを伸ばしたが,その中でユーザーがFileMakerで自作したデータベースとの連携の要求が多かったことが,FileMakerによるシステム開発のきっかけになったと,ヘルスケアIT事業部の田中英敏部長は振り返る。「自作された患者管理や検査レポートとGOODNETの画像データを連係したいという要望が多く,過去にはFileMakerスクリプトで個別対応していたのですが,動画像システムを展開する上で患者管理やレポーティングシステムは重要な要素になると考えてFileMakerプラットフォームによる自社開発をスタートしました」。
2004年には,FileMakerによる検査台帳管理をリリース,2006年にFileMaker専門の開発部門が発足した(現在の開発2課)。2010年にはファイルメーカー技術認定資格者を採用し,社内スタッフのスキルアップにも取り組み,現在は7名体制で開発,運用管理を行っている。開発2課リーダーを務める宮崎秀隆氏は,「社内に専門スタッフをそろえて,事業の中核としてFileMakerによる開発に本格的に取り組んでいます。FileMakerの開発は,外注ではなく社内にスタッフを置いた体制にこだわりました。社内に専門部署を設置して迅速に対応し,かつそのノウハウを蓄積していくことが重要だと考えたからです」と説明する。
グッドマンは,カテーテルなどの消耗品の補充などを行う100名以上の営業スタッフが,取引先の病院を定期的に訪問し,循環器科医やカテ室のスタッフとコミュケーションを取り,常に情報収集を行っている。「それによってデバイスの動向や手技の流行など,最新の情報が社内で共有されます。FileMakerのシステムでも,この項目を追加して欲しいと言われた時に,なぜそれが求められたのかをすでに把握していますから,要望に100%以上の形で応えることができます」(宮崎リーダー)。
●他システムとリンクしたデータ取り込みや,ステップの少ないレポート作成などを提供
GOODNETのラインナップのひとつとして提供される検査台帳管理・レポーティングシステムは,カテ室の検査情報を総合的に管理する検査基本台帳データベースを中心に,CT台帳(心臓CT),RI台帳(心筋シンチ),心エコー台帳をじはじめ,数多くのデータベースが用意されている。基本台帳では,患者基本情報や,薬剤の投与情報,採血情報,血液データなど検査の基本情報の入力,術中の経過記録(治療部位,デバイスの種類・サイズ,使用目的,数,順番など)の入力や,心機能解析結果の取り込みなどが可能で,動画像からキー画像を貼り付けたレポート作成などが行える。そのほか,急性心筋梗塞での病院の到達時間や,血流が戻った時間など,施設の運用やニーズにあわせた項目を設定したデータの入力が可能だ。
循環器科では,フォローアップや治療結果の統計処理,研究といったニーズが強く,心カテのレポーティングシステムに求められるのは,単に診療情報としての検査レポートが作成できるだけではなく,各種情報をデータベースとして入力できる機能と,入力したデータベースの情報を利用して簡便にレポートが作成できることで,いわば“レポート作成機能付データベース”が必要とされている。GOODNETでは,データの取り込みでは,オーダや電子カルテとリンクした患者情報の取得,術中データでは心電図,圧波形などを記録するカテラボシステムとリンクして,患者データや計測情報の自動取り込みを実現する。レポートの作成では,このデータを利用して,できるだけ少ないステップ数で目的が達成できるように工夫されている。開発2課の宮崎リーダーは,「循環器の検査では,治療の経過を観察することから,フォローアップ検査の場合,過去の治療実績に対して当日のデータを追加することが必要で,その結果は時系列で参照することが求められます。こういった通常の検査とは異なる要求に応えられるのも,現場を知るスタッフと開発者が多くいるからです」と説明する。
また,GOODNETのレポーティングでは,心エコー検査のレポートでDICOM-SRに“完全”対応していることが特長だ。各メーカーの超音波診断装置は,DICOM-SRに対応しているが単位の不揃いやデータの順番違いなど細かい部分でメーカーごとの“方言”があり,現場での調整が必要となっている。グッドマンでは,これを1度GOODNET側のサーバで受けることで値を変換し,真のマルチベンダー対応を実現している。
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●最も現場に近く,深く知る会社が作る循環器部門をサポートするためのシステム
循環器部門では,もともとFileMakerによるユーザーメードシステムが多く構築されてきたが,一方で,手技の高度化・複雑化とFileMaker自体の高機能化によって,ユーザーが検査の合間に片手間でシステムをメンテナンスするには負担が大きくなってきたことが,循環器領域でグッドマンなどのベンダー提供のシステムが導入されるようになった背景があると宮崎リーダーは言う。「例えば,使われなくなってしまった台帳のデータベースを引き継いで,FileMakerのシステムとして継続して利用できるようにGOODNETのレポーティングシステムを使ってもらうことも事業のひとつと考えています」。 そのために,グッドマンでは保守契約を結ぶことを前提として,GOODNETのリモート回線によるFileMakerシステムのカスタマイズを行っている。ユーザーからの項目の追加やレイアウト変更などの依頼に対して,開発2課のスタッフがリモートによるシステムの修正やカスタマイズを行っている。1日の修正依頼は10件近くあり,それらの依頼に対して保守契約の範囲内で対応する。
「おそらく理想のデータベースは,現場のニーズを日々その場で修正,追加できるユーザーメードシステムです。われわれ企業は常に現場にいるわけではないので,納品して完了という従来と同じ考え方では,FileMakerで運用されてきたメリットを維持できません。そのギャップを埋めるためにリモートでの修正に対応しました。保守契約の範囲であれば,期限を区切ることなく契約の続く限り要求に対応します」(宮崎リーダー)。
システム開発だけを行っている会社であれば,いわゆる手離れの悪い案件はマイナスとなるが,循環器部門でトータルに事業を手掛けるグッドマンにとっては, それもプラスになっていると言う。「ユーザーからの要望に繰り返し対応していくことは,顧客に対して継続的にアプローチできることになり,トータルなビジ ネスで見ればメリットが大きいと言えます。通常のシステムベンダーではデメリットとなる部分が,われわれにはプラスになります。そういったシステム開発が できるのもFileMakerならではと言えるのではないでしょうか」(田中部長)。
●2012年7月にGOODNETバージョン6がリリース,FileMakerのバージョン12に対応
GOODNETは,2012年7月にバージョン6がリリースされたが,検査台帳・レポーティングシステムもFileMakerのバージョン12,64bit対応となり機能も強化された。「継続的な修正や機能アップは行っていますが,ハードウエアの寿命が5~7年ですので,そのサイクルでシステム自体が更新となり,その時にはメジャーアップデートを行います。今回のバージョンアップでは,FileMaker12新機能への対応が大きな変更になります」(宮崎リーダー)。
田中部長は今後の事業展開の方向性として,「院外への動画像の配信,地域医療連携システムへの展開などを視野に入れて開発を行っていく。FileMakerでの開発を含めて,われわれの強みを生かして現場のニーズに最大限対応し,医療を支援するシステムを提供していきたい」と述べている。
株式会社グッドマン
ヘルスケアIT事業部
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