一般社団法人日本IHE協会は,2012年10月29日(月)〜11月2日(金)の5日間にわたり,東京都立産業貿易センター浜松町館(東京都港区)にて,「IHE-J 2012コネクタソン」を開催した。
医療機関では一般に,複数のベンダーの機器やシステムを導入している。機器・システムの接続にあたっては,HL7やDICOMなどの標準規格があるが,規格の解釈の違いが接続の障壁となっている現状がある。そこでIHEでは,情報のワークフローである業務シナリオ(統合プロファイル)を分析して,標準規格の使い方を示したテクニカルフレームワーク(技術定義書)を策定し,機器・システム接続の問題解決を支援している。コネクタソンは,テクニカルフレームワークを実装した機器・システムの相互接続性を確認するもので,ベンダーが機器・システムを持ち寄り,テストシナリオに従った接続検証テストが行われる。
今回は42社,76システムが参加し,放射線検査,臨床検査,循環器部門,ITインフラストラクチャ,放射線治療分野,内視鏡検査,PCD(Patient Care Device)の7つの対象領域(ドメイン)でテストが行われた。接続検証テストにあたっては,今回から新しい進捗管理ツール「Gazelle」を使用している。Gazelleは,IHE Internationalが開発したWebベースのテストマネジメントシステムで,北米やEUのIHEでは4年ほど前から運用されている。今回のコネクタソンには,支援のためにEUから技術者が派遣され,グローバルに開発に力を注いでいる様子がうかがえた。
10月30日(火)には,第42回IHE勉強会とコネクタソン見学会が行われ,多数の医療関係者やベンダー担当者が参加した。勉強会では,はじめに日本IHE協会普及推進委員の法橋一生氏(静岡県立総合病院)が,「IHE概要」としてIHEの目的や活動内容について説明した。次に,日本IHE協会普及推進委員の奥田保男氏(放射線医学総合研究所)が,「業務シナリオ概要」として,医療情報システム標準化の必要性や,業務シナリオなどの用語,IHEの技術的構造などについて解説した。続いて,日本IHE協会普及推進委員の松田恵雄氏(埼玉医科大学総合医療センター)が,「ドメイン概要」として,現在11(日本では9)あるドメイン(領域)について解説した。最後に,日本IHE協会接続検証委員会の吉村 仁氏が,「コネクタソン解説」を行い,コネクタソンの目的や,実施概要について紹介した。
勉強会終了後,グループに分かれてコネクタソン見学会が行われ,ドメインごとに企画委員や技術委員による詳細な説明があった。
今回のコネクタソンの評価結果は,12月中に日本IHE協会のWebサイトでの公開を予定している。 |