ホーム の中の取材報告の中の 2012の中の東芝メディカルシステムズ,メディアセミナー「関節リウマチ評価のパラダイムシフト」を開催

取材報告

2012
東芝メディカルシステムズ
メディアセミナー「関節リウマチ評価のパラダイムシフト」を開催

太刀川博之氏(広報室室長)
太刀川博之氏
(広報室室長)

池田 啓氏(千葉大学医学部附属病院)
池田 啓氏
(千葉大学医学部附属病院)

小山健二氏(超音波営業部)
小山健二氏
(超音波営業部)

関節エコーのデモンストレーション
関節エコーのデモンストレーション

ハイエンド超音波診断装置「Aplio 500」
ハイエンド超音波診断装置「Aplio 500」

ポータブル超音波診断装置「Viamo」
ポータブル超音波診断装置「Viamo」

  東芝メディカルシステムズ(株)は2012年8月22日(水),東京ステーションコンファレンス(東京都千代田区)にてメディアセミナー「関節リウマチ評価のパラダイムシフト」を開催した。このメディアセミナーは,同社がメディアへの質の高い医療情報の提供を目的に,身近なテーマを取り上げて企画しているもので,2011年10月の開催に続き2回目となる。
  はじめに,広報室室長の太刀川博之氏が挨拶に立ち,「わが国の高齢化に伴い,社会的インパクトの大きい疾病となってきている関節リウマチをテーマに取り上げた。関節リウマチ診療の最新動向や,重要性を増しつつある画像診断,なかでも超音波診断装置による関節リウマチの評価について広く知っていただきたい」と企画の背景を述べた。

  講演は,千葉大学医学部附属病院アレルギー・膠原病内科の池田 啓氏が,「関節リウマチ評価のパラダイムシフト:関節エコーの活用」と題して,この20年で大きく進歩した関節リウマチ治療について,またこれまでの評価方法の問題点と,それを克服する関節エコーについて解説した。池田氏は,日本リウマチ学会で関節リウマチ超音波の標準化に携わり,関節リウマチエコーの啓発に尽力している。
  関節リウマチは,遺伝要因と環境要因により免疫異常が起こることで関節の滑膜が炎症を起こし,疼痛,機能障害,QOLの低下をもたらすもので,炎症が進むと非可逆的な関節破壊が起こり慢性化する疾病である。池田氏は,一般的に高齢者に多いと思われがちな関節リウマチが,広い年齢層で発症し,40歳代が最も高い発症率であるという調査結果を紹介。従来は関節破壊の進行は10年以上かけて進むものと考えられていたため消極的治療が行われてきたが,実際は発症後2,3年で関節破壊が進むことから,早期診断,早期治療が重要であると説明した。そして,現在は治療効果の高い抗リウマチ薬が開発されているが,高価で,重篤な副作用が比較的高頻度に起こることから,必要な患者に適切な時期に治療を行うことが肝要であり,そのためには精度の高い診断が不可欠であるとした。
 池田氏は,関節の構造を解説した上で,これまで滑膜炎は,疼痛やこわばり,腫脹,熱感,血液検査などで評価されてきたが,個人差や滑膜炎以外の原因もあること,軽度の炎症では症状が認められないといった問題点があるとし,また,滑膜炎の活動性と関節破壊の進行は必ずしも相関しておらず,評価に限界があると述べた。画像診断としては,X線やMRIが用いられてきたが,軟部組織の評価能や被ばく,コストといった課題があった。これに対し超音波診断は,肥厚した滑膜の描出に優れており,また腫脹を伴わない滑膜炎では,パワードプラによる炎症部の新生血管の評価が可能なことから,精度の高い診断が可能であるとした。さらに,リアルタイム性,反復検査が可能であることや,炎症によって起こる骨びらんの検出能がX線よりも優れている点などを挙げ,従来はX線にて関節破壊を評価することが関節リウマチの画像診断だったが,関節エコーにより滑膜の炎症から関節破壊までを評価できるようになったことで,関節リウマチ診断にパラダイムシフトが起きたとした。
  総括として池田氏は,関節エコーを関節リウマチ診療に用いることで,適切な患者に対し,適切な時期に適切な治療薬を投与可能となると述べ,さらに関節エコーが教育面も含めて診察でのフィードバックによる評価技術や穿刺技術の向上に貢献するとともに,リアルタイムで動的評価が可能なことから,患者とのコミュニケーションツールとしての役割も果たすと述べ,講演を締めくくった。
  続いて,ハイエンド装置である「Aplio 500」を使っての関節エコーのデモンストレーションが行われ,池田氏が講演内容を振り返りながら,滑膜や腱,ドプラによる血流の評価について説明した。

  次に,超音波営業部の小山健二氏が,東芝メディカルシステムズ超音波診断装置の最新技術紹介を行った。小山氏は,超音波診断装置の特徴や開発の歴史に触れた上で,同社の超音波診断装置「Aplioシリーズ」と,Aplio 500に搭載されている最新技術“Fly Thru”と“Smart Fusion”を紹介した。
 “Fly Thru”は,管腔内の視点から管腔壁を見るような新しい3Dイメージング技術で,血管,胆管,膵管,大腸,子宮,膀胱,尿管,乳管などの領域での活用が期待される。また,"Smart Fusion"は,CTやMRIのボリュームデータを超音波画像と連動させて表示することができ,安全な穿刺や治療をサポートする。
  会場には,デモンストレーションを行った「Aplio 500」のほかに,プレミアムクラスの基本画質性能を備えたポータブル超音波診断装置「Viamo」が展示された。


●問い合わせ先
東芝メディカルシステムズ株式会社
広報室
TEL 0287-26-5100
http://www.toshiba-medical.co.jp/


【関連記事】

東芝メディカルシステムズ,メディアセミナー「CTを用いた大腸がん検診技術」を開催 ― CTC遠隔読影システムを紹介 ―

日本超音波医学会第85回学術集会 ランチョンセミナー1
腹部領域におけるAplio500の展望(月刊インナービジョン2012年8月号掲載)
新機能を活かした診療…拡がる臨床応用 丸山 紀史(千葉大学医学部附属病院消化器内科)

よくみえる画像できれいに診断 〜日々進歩する画像技術〜 水口 安則(国立がん研究センター中央病院放射線診断科)

月刊インナービジョン 2011年8月号付録 「新。超音波診断」 Vol.4