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取材報告

2012
東芝メディカルシステムズがAquilion PRIMEのシンポジウムを開催

多くの参加があったシンポジウム会場
多くの参加があったシンポジウム会場

座長:山本浩之 氏(倉敷中央病院)
座長:山本浩之 氏
(倉敷中央病院)

多賀谷 靖 氏(虎の門病院)
多賀谷 靖 氏
(虎の門病院)

平野雄士 氏(小樽掖済会病院)
平野雄士 氏
(小樽掖済会病院)

白石哲史 氏(新古賀病院)
白石哲史 氏
(新古賀病院)

渡辺博也 氏(大阪府三島救命救急センター)
渡辺博也 氏
(大阪府三島救命救急センター)

座長:小林泰之 氏(聖マリアンナ医科大学)
座長:小林泰之 氏
(聖マリアンナ医科大学)

石村理英子 氏(虎の門病院)
石村理英子 氏
(虎の門病院)

松本 純一 氏(聖マリアンナ医科大学病院)
松本 純一 氏
(聖マリアンナ医科大学病院)

  東芝メディカルシステムズ(株)は2012年7月28日(土),丸ビルホール(東京都千代田区)において,「Aquilion PRIME Symposium 2012」を開催した。このシンポジウムは,同社が2010年12月に発表した80列(160スライス)のマルチスライスCT「Aquilion PRIME」の撮影技術と臨床での有用性をユーザーが発表するというもの。当日は,撮影技術を中心とした「Aquilion PRIMEの各領域における技術」と,臨床的有用性について取り上げる「Aquilion PRIMEの各領域における臨床」の2つのセッションに分けてプログラムが構成された。

  発表に先立ち,まず同社のCT事業の国内責任者である今井喜与志氏が挨拶を行い,続いて同社CT営業部の宮谷美行氏がAquilion PRIMEの技術的特長を解説した。Aquilion PRIMEは,Area Detector CT「Aquilion ONE」の技術を投入して開発された同社マルチスライスCTのハイエンド装置。CT検査を高速化する要素であるポジショニング,スキャニング,リコンストラクションにAqulaコンセプトの技術が生かされている。その1つ“Aqula Setting”として,Aquilion PRIMEは,780mmの広い開口径を持ち,寝台の左右42mm移動が可能である。また,“Aqula Helical”では,0.5mm×80列のdetectorや2572view数と“TCOT+”による高速スキャンを実現しているほか,“Aqula Recon”は専用の再構成エンジンの搭載し,スキャン同時再構成を可能としている。

  最初のセッションでは,このようなAquilion PRIMEの特長による性能評価や領域別の撮影テクニックが紹介された。座長は倉敷中央病院放射線センターの山本浩之氏。まず,Aquilion PRIMEの基本性能について,虎の門病院放射線部の多賀谷 靖氏が講演した。多賀谷氏は,Aquilion PRIMEの再構成ユニットが高速化されたことで検査のワークフローが速やかになったとして,64列マルチスライスCTとの比較結果を示した。さらに,軌道同期ヘリカルスキャンと軌道同期サブトラクションについても解説。まとめとして,Aquilion PRIMEは日常・救急診療のワークフローを改善し,あらゆる部位において低線量で高画質画像を得ることができ,心臓CT検査にも有効な装置であると述べた。

  次いで登壇した小樽掖済会病院医療技術部の平野雄士氏は,性能評価をテーマに講演した。同院は7月にAquilion PRIMEを導入。0.35s/rotと0.5s/rotでのFOVがセンターの場合,オフセンターの場合での画質特性の検討を行った。その結果を示した上で,平野氏はview数の向上による高画質化により,ルーチン検査で0.35s/rotの撮影ができると述べた。また,高速ヘリカル撮影ではノイズやアーチファクトが増加するため,線量を上げるなどの条件設定が重要であるといった撮影時の留意点を報告した。

  3番目の発表では,新古賀病院放射線診断部の白石哲史氏が体幹部領域での使用経験を発表した。同院ではルーチン検査でAquilion PRIMEを使用しており,前機種よりもスループットが向上していることを報告した。また,被ばく低減技術であるAIDR 3Dを用いた腹部造影CTの症例画像などを提示した。同院では,AIDR 3DをCTコロノグラフィにも適用しており,低線量での検査が行えているという。さらに白石氏は,780mmの開口径がCTガイド下肺生検でのポジショニングを容易にしているというメリットも紹介した。

  続いて,救命救急領域での使用経験を大阪府三島救命救急センター放射線科の渡辺博也氏が報告した。渡辺氏は救命救急領域において,Aquilion PRIMEの画像再構成時間が短いことは大きなメリットだと説明。さらに,AIDR 3DとVolume ECにより,全身外傷CTにおいても低被ばくでの撮影が行えていると述べた。このほか,ポジショニングが困難なケースも多い救命救急領域において,開口径が広いことも非常に重要なメリットであると説明した。

  休憩を挟んで行われた2セッション目は,聖マリアンナ医科大学放射線医学教室の小林泰之氏が座長を務めた。まず,虎の門病院循環器センター内科の石村理英子氏が,循環器領域における臨床的有用性について講演した。石村氏は心電図同期フラッシュスキャンにより被ばく低減や造影剤量を減らすことができたと説明。AIDR 3Dにより低い線量で高画質画像が得られていると述べた。さらに,スキャン中にヘリカルピッチが変えられるバリアブルヘリカルピッチスキャンも取り上げ,CABG術後症例での息止め時間短縮などの効果があったと,メリットを紹介した。

  この後,救命救急領域の臨床的有用性について,聖マリアンナ医科大学病院救命救急センターの松本純一氏が登壇した。松本氏はまず,救急診療における画像診断の位置づけについて言及。質の維持や効率性の観点から画像診断の重要性が高まっており,CTはすぐに検査が行えることが大事だと述べた。そして,救急診療での読影方法であるFACT(Focused Assessment with CT for Trauma)について説明し,Aquilion PRIMEは,この読影方法に適した,救急診療のニーズにマッチした装置だと説明した。

  すべての講演が終了した後には,情報交換会も行われ,多くの参加者を集めて,シンポジウムは終了した。


●問い合わせ先
東芝メディカルシステムズ株式会社
広報室
TEL 0287-26-5100


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