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取材報告

2012
医機連,平成24年 年頭記者会見を開催

荻野和郎氏(会長)
荻野和郎氏
(会長)

本橋雅夫氏(企業倫理委員会)
本橋雅夫氏
(企業倫理委員会)

左より荻野氏,本橋氏,岩崎氏
左より荻野氏,本橋氏,岩崎氏

  1月6日(金),日本医療機器産業連合会(医機連)がKKRホテル東京(東京都千代田区)にて平成24年年頭記者会見を開いた。記者会見には,会長の荻野和郎氏,企業倫理委員会の本橋雅夫氏,広報委員会の岩崎保夫氏が出席。年頭挨拶として荻野会長が,今年の診療報酬改定,および通常国会への法案提出に向けた薬事法改正問題を控えているなか,環太平洋パートナーシップ(TPP)参加などの国際社会情勢を踏まえた上で,医機連がどのような取り組みを行っていくかを示した。

  まず診療報酬改定については,2011年末にプラス改定(0.004%)が提示されたものの,薬価,薬剤・材料等を下げて(−1.375%),手術料などの本体部分を上げる(+1.379%)という内容で実質的には横ばいでしかない。医機連としては,医療崩壊の抜本的な改善につながることをめざし,医療機器のイノベーションの評価を具体的に織り込むことなどを中心に要望してきたが,今回の診療報酬改定で医療崩壊の改善につなげるどころか,かえって医療機器産業界にとっては一段と厳しい状況を生むことになるのではないかと,危惧を述べた。

  次に,薬事法改正問題については,医薬品と医療機器はまったく異なる生産物であるにもかかわらず,医薬品を主な対象とした同法によって,諸外国に比べて非効率な規制を受けてきた。この結果,国内の医療機器産業は世界に比べ減衰し,先端治療機器をはじめとした医療機器の大半を輸入で賄うこととなり,医療機器の安定供給問題や先進的医療機器の市場投入の遅れなどを生じることとなったと指摘した。今後,TPP参加が実現すれば,海外メーカーとの競争がより激しくなることが予想されることも踏まえて,医療機器を医薬品と切り離して別の法体系で取り扱うことが不可欠であると強調した。

  そのほか,2011年度をもって活動を終了する“第4期医療技術産業戦略コンソーシアム(METIS)”については,“革新的医療機器とレギュラトリーサイエンス” “医療機器の適正評価” “未承認医療機器による臨床研究” “アジアとの連携・交流” を重要テーマとしたこれまでの各委員会・ワーキンググループの活動について,3月12日(月)に予定している会議にて最終的な取りまとめを行うとした。あわせて,日本貿易振興機構(JETRO)との連携により,インド,中国で日本企業を対象としたセミナーなどの開催スケジュールについても報告した。また,2012年は,医療機器規制国際整合化会議(GHTF)での最後の会議が11月に行われるが,議長を日本が務める。そこで,行政側との健全な協力体制を構築していくことが示されることを期待すると述べた。

  荻野会長の挨拶に続き,『医療機器産業界における医療機関等との透明性ガイドライン』について本橋氏より説明が行われた。同ガイドラインは,企業活動における医療機関等への支払い資金の情報を公開するためのものであり,日本製薬工業協会の『企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン』に倣って策定されている。今後,医機連会員企業は,前年度の資金提供を“研究費開発費等” “学術研究助成費” “原稿執筆料等” “情報提供関連費” “そのほかの費用”の項目に分けて,決算終了後に自社Webサイト等で公開することとなる。

  2011年には東日本大震災をはじめ,ニュージーランドの大地震,タイの大洪水などの災害が世界各地で発生する一方,中東の政情不安やユーロ危機,超円高,および新興国の台頭などもあり,日本経済を取り巻く環境は厳しい状況が続いている。そのような中,医機連は2012年も加盟団体や企業の協力を得ながら,日本の医療機器産業の国際競争力の強化を図り,日本経済の活性化のみならず国民の健康に寄与していくという姿勢を表明した。


●問い合わせ先
日本医療機器産業連合会
TEL 03-5225-6234
http://www.jfmda.gr.jp/

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