2011年12月2日(金),東京大学本郷キャンパス内に建設されたドナルド・マクドナルド・ハウス 東大の開所式が開催された。
ドナルド・マクドナルド・ハウス 東大(以下,東大ハウス)は,東京大学医学部附属病院(以下,東大病院)と公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン(以下,DMHC)が,遠方から入院する子どもに付き添う家族のための滞在施設として共同で建設したホスピタリティハウスで,2012年1月25日(水)より,250名のボランティアの力を借りて運営が開始される。ボランティアで運営されているドナルド・マクドナルド・ハウス は世界31か国に建設されており,東大ハウスは世界で310番目,国内では8番目,国立大学法人としては初のハウスとなる。なお,東大ハウスの建設計画は,2011年1月に急逝した前DMHC理事長の開原成允氏により進められていた。開所式には,開原氏の遺志を受け募金を行った妻の開原久代氏も出席した。
開所式では,まずDMHC理事長の柳澤正義氏が挨拶に立った。続いて,東京大学総長の濱田純一氏,東大病院病院長の門脇 孝氏,東大ハウス募金委員会委員長の高久史麿氏(日本医学会会長/自治医科大学学長),日本マクドナルド(株)代表取締役会長兼社長兼CEOの原田泳幸氏が来賓の挨拶を述べた。
濱田総長は,150年の歴史を持つ東大病院は常に日本の医療の先端に立って進んできたが,これを機に技術だけでなく心のケアもカバーし,また,学生もその重要性を学ぶ絶好の機会として活用されることを望むと述べた。門脇病院長は,小児医療センターも開設した同院小児医療部門にとって,唯一足りなかったのがホスピタリティハウスであったとし,東大ハウスの建設により同院の小児医療は盤石なものになったとその喜びを表した。東大が独立法人化したころに東大ハウス建設の相談を受けた高久氏は,タイミング的に見て建設は厳しいのではないかという見解を持っていたが,東大病院やDMHCをはじめ関係者の熱意により実現できたことを祝福した。原田氏は,ボランティアで運営されるドナルド・マクドナルド・ハウスが世界中で増え続けていることは,言葉や文化を超越した普遍的なチャリティ活動が行われている証拠として,今後もその活動を全社を挙げて支援していきたいと述べた。
開所式の後は内覧会が行われ,東大ハウス内が紹介された。施設は4階建てで,宿泊室は2,3階に12室設けられ,4階にキッチン兼リビングスペースという構成。
ドナルド・マクドナルド・ハウスは“第2の我が家”をコンセプトとしているが,同じ立場,心境の小児患者家族のふれあいの場として機能するよう,リビングやキッチンは共用スペース化されている。東大病院の小児患者の平均入院日数は約18日であるが,東大ハウスは,1回目の利用では最大4週間宿泊でき,それ以降はある程度の間隔を置きながら最大2週間ずつ宿泊できる。利用料は1人につき1日1000円。なお,外泊を許可された患者は家族と過ごすことができ,食事制限がなければ家族の手料理で食事が可能だ。食材をはじめ必要なものの買い出しを頼むことも可能で,土地勘のない遠方の利用者のケアも万全である。
宿泊利用の申請に関しては,先着順ではなく,東大病院とDMHCで取り決めた一定の基準に従って判断される。なお通常,利用者の決定は東大病院ではなく,東大ハウス側(ハウスマネージャー)によりなされ,利用開始日の1週間前に申請者に通達されるというシステムだ。
前列左より,門脇氏,宮園浩平・東京大学大学院医学系研究科科長,濱田氏,高久氏,
後列左より,柳澤氏,DMHC専務理事の廣瀬 修氏,原田氏,開原久代氏
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