2011年11月22日(火)〜24日(木),慶應義塾大学理工学部矢上キャンパスにて開催された第20回日本コンピュータ外科学会(JSCAS)大会(会長:谷下一夫・慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科教授)において,大会2日目の23日に,「第8回CAS Young Investigator Awards(日立メディコ賞)」の授賞式および受賞講演が行われた。「CAS Young Investigator Awards(日立メディコ賞)」は2003年より,CAS(コンピュータ外科)分野での活躍が期待される若手研究者に授与している賞で,過去7回,23名が受賞している。今回は,ゴールド賞には野方 誠氏(立命館大学ロボティクス学科准教授),シルバー賞には,服部麻木氏(東京慈恵会医科大学高次元医用画像工学研究所准教授)が選出された。
当日は,表彰状の授与式が行われ,続いて受賞講演が行われた。まず,野方氏が日本コンピュータ外科学会における数年分の研究発表を紹介し,今回受賞の対象となった「軟性内視鏡手術用極細径生検鉗子の設計製作」について概要を解説した。現在はカテーテル鉗子の進化に向けた研究開発も行っており,できるだけ早い実用化をめざしたいと述べた。
次に,服部氏が自身の研究テーマである「術中ナビゲーションシステムの開発と臨床応用」を紹介し,2003年に開設された東京慈恵会医科大学第三病院のハイテクナビゲーション手術室の機器の更新を行い,リニューアルさせたいと述べた。
最後に,(株)日立メディコ執行役常務の前田常雄氏が挨拶に立った。2011年度は,科学技術基本計画第4期となるが,3月11日に起きた東日本大震災により計画内容が見直され,従来の“グリーンイノベーションの推進” “ライフイノベーションの推進”に加え,“震災からの復興,再生の実現”が新たに基本方針として打ち立てられた(http://www8.cao.go.jp/cstp/kihonkeikaku/4gaiyo.pdf)。“ライフイノベーションの推進”に関しては,震災後も変わりなく,これまで同様,医療,介護,健康を日本の牽引産業としていくことが示されている。また,日立グループは,中期経営計画として“社会イノベーション事業”を柱に掲げているが,ヘルスケア事業はその中心事業である。その中核を担う日立メディコは,今後も,「よりよい医療システムの提供を通じてヘルスケアの進歩に貢献し,世界の人々の健康に奉仕する」という企業理念を持ち,事業に取り組んでいきたいと述べた。前田氏は,コンピュータ外科領域は,日本が世界を牽引し,新たな情報を発信していくことができる分野であり,受賞者には,この領域の発展の一翼を担う活躍を期待すると締めくくった。
集合写真
左より,前田氏,服部氏(シルバー賞),野方氏(ゴールド賞),北島氏
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