第19回日本コンピュータ外科学会大会(橋爪 誠会長:九州大学大学院医学研究院先端医療医学講座教授)が,九州大学医学部百年講堂において,2010年11月2日(火)〜4日(木)にかけて開催された。
大会中日(11月3日)には,「第7回CAS Young Investigator Awards(日立メディコ賞)」の授賞式および受賞講演が行われた。今回,ゴールド賞には森 健策氏(名古屋大学大学院情報科学研究科教授),シルバー賞には,植村宗則氏(九州大学大学院医学研究院先端医療医学講座)と小林英津子氏(東京大学大学院工学系研究科精密機械工学専攻准教授)の2名が選出された。
授賞式では,日立メディコの三木一克氏(執行役社長)が挨拶に立ち,まず,前日に行われた歴代受賞者講演を受け,同賞受賞者が受賞後,期待以上の大きな成果を挙げていることへの喜びを述べた。また,今回の学会テーマ「世界最高水準の医療技術立国を目指して」が,6月に閣議決定された新成長戦略で掲げられたライフ・イノベーションによる健康大国戦略とも合致しており,産学官が共同で医療技術革新を推し進めることへの期待を示し,今年で創業100周年を迎えた日立グループとしても,今後,社会イノベーション事業を柱として経営資源を集中させ,日立メディコを中心にグループとしてヘルスケア事業を拡大し,社会の期待に応えていくとの意向を述べた。
受賞講演では,森氏が「JSCAS2009における名大森(健)研究室からの発表」として,昨年の同大会で発表した内視鏡下手術ナビゲーションに関する9題の研究を紹介した。続いて,シルバー賞の植村氏が,「Augmented Reality技術を用いた病変可視化システムの関節鏡下手術への応用」について,小林氏が「腹腔鏡下手術支援用高出力半導体レーザ治療デバイス」について,それぞれ発表した。
また,今回初めての催しとして,授賞式前日(11月2日)に歴代日立メディコ賞受賞者による成果発表の講演が行われた。講演に先立ち,司会の橋爪氏が,受賞者の活躍を目の当たりにし,同賞が受賞者自身や若い研究者にとってどのような刺激や目標になっているかを知ることも有意義だと,本講演の企画意図を説明した。
講演では,第4回(2006年度)受賞者の中村亮一氏(千葉大学大学院工学研究科人工システム科学専攻)と,正宗 賢氏(東京大学大学院情報理工学系研究科)の2名が登壇し,受賞後の研究の成果として,中村氏が「千葉大学におけるCASの展開と基盤形成」について,正宗氏が「画像誘導支援を中心としたコンピュータ外科研究の展開」について発表した。
「CAS Young Investigator Awards(日立メディコ賞)」は,本学会が2003年より,CAS(コンピュータ外科)分野での活躍が期待できる若手研究者に授与している(過去6回,20名が受賞)。
受賞者集合写真
左から橋爪氏,三木氏,小林氏,森氏,植村氏,中西宏明氏〈(株)日立製作所代表執行役執行役社長〉
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