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取材報告

2011
第40回日本医療福祉設備学会が開催

シンポジウムIIで会場からの質問を受けるシンポジスト
シンポジウムIIで会場から
の質問を受けるシンポジスト

昨年より8600人以上入場者数が増えたHOSPEX会場
昨年より8600人以上入場者数が
増えたHOSPEX会場

  第40回を数える日本医療福祉設備学会が2011年11月9日(水),10日(木)の日程で,東京ビッグサイト会議棟(東京都江東区)で開催された。大会長は,医療法人社団千禮会理事長・上海中医薬大学客員教授の信川益明氏。大会テーマには「生活支援・医療連携・生きがいづくり実現のための医療・福祉設備—高齢者向け見守りシステムとICT—」が掲げられ,地域医療連携ネットワークシステムや高齢者の見守りシステム,スマートフォンを活用した在宅医療・訪問看護のセッションなどが設けられた。

  初日の午前中には,シンポジウムIIが行われた。テーマは「チーム医療を推進する職種間情報連携の在り方」。国際医療福祉大学大学院の武藤正樹氏が座長を務めた。最初に,桜新町アーバンクリニックの遠矢純一郎氏が,「スマートフォンとクラウド型地域医療連携システムで切り拓く未来型在宅医療」と題して発表した。この発表では,医師や訪問看護師,薬剤師など,異なる組織に所属する多様な職種のスタッフの情報共有を図るために,iPhoneを用いて,グループウエアに情報を入力し,その情報を他職種間で共有する取り組みが紹介された。2番目の発表では,「iPhone・iPadを利用した医学教育と多職種間連携教育の実際」をテーマに,小倉第一病院の隈本寿一氏が登壇した。隈本氏は,業務負担軽減を目的にIT化を図り,職員のITリテラシー能力を身につけるために,iPhoneやiPadとグループウエアを用いたeラーニングシステムを開発したと報告。eラーニングだけでなく福利厚生情報を提供することで,職員が積極的に学習に取り組み,高い職員満足度を実現していることを紹介した。3番目の発表では,聖隷訪問看護ステーション千本の櫻井悦子氏が,「訪問看護の現場から見たスマートフォンによる地域連携」と題し発表した。櫻井氏は,桜新町アーバンクリニックの取り組みを参考に,訪問看護師が携帯する文書や地図などを重量を軽減するために,iPhoneの活用を考えたと説明。夜間,休日も含め,24時間体制で緊急対応する訪問看護の現場で,機動力のある体制がとれていると述べた。

  このほか,初日午前中には,シンポジウムIII「地域見守りシステムへの取組み実態と今後の展開」も行われた。このシンポジウムでは,北海道大学大学院の小笠原克彦氏が,調剤薬局と北海道大学の健康相談室をオンラインで接続した遠隔健康相談システムを紹介したほか,携帯電話やスマートフォンを活用した高齢者の見守り事例が各発表者から紹介された。

  なお,学会に併設する形で,HOSPEX Japan 2011が東京ビッグサイト東展示棟で行われた。医療機器や建築・設備,医療・福祉向けサービス,医療・福祉情報システムなどが出展され,11月9日から11日(金)までの3日間で,4万2997人が入場した。


●問い合わせ先
一般社団法人日本医療福祉設備協会
TEL 03-3812-0257
FAX 03-6240-0690
http://heaj.org/


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