第39回日本磁気共鳴医学会大会が,2011年9月29日(木)〜10月1日(土)の3日間,興梠征典氏(産業医科大学放射線科学教室教授)を大会長として,リーガロイヤルホテル小倉(福岡県北九州市)で開催された。海外特別講演,特別講演2題,シンポジウム5題,教育講演14題,技術シンポジウム,ワークショップなどのプログラムのほか,日韓合同シンポジウム(Japan-Korea Friendship Symposium)が企画され,「Modern MR technology: Is it time for clinical use?」と題して,NeuroとBodyの2つのセッションでテーマごとに日本と韓国の研究者が発表するスタイルで講演が行われた。一般演題は565題の応募があり,口演65題とポスターセッション37が設けられ,会場内で活発な議論が繰り広げられていた。
また,3月の東日本大震災について,会場内に展示コーナーを設けたほか,緊急報告として「東日本大震災によるMR装置の被災状況と今後の課題」のセッションが行われた。
29日の海外特別講演では,興梠大会長が座長を務め,「Imaging biomarkers in neurodegenerative dementia」と題して,Kejal Kantarci氏(Mayo Clinic)が講演した。また,2日目に行われた特別講演1では,佐々木真理氏(岩手医科大学)が「超高磁場7 Tesla MRIの現状と将来」を講演した。岩手医科大学では,医歯薬総合キャンパスとして移転を進めている矢巾キャンパス内に,GEの7T MRIである「DiscoveryMR950」を導入した超高磁場先端MRI研究所を開設した。2010年3月のマグネット搬入から1年をかけて設置作業を進め,今年4月に最初の人間に対するスキャンを行った。7T MRIは日本では2台めの導入で,フルデジタル受信,多チャンネル送信が可能な次世代機としては世界初の導入となる。佐々木氏は,7T MRIの初期臨床画像を提示し,7Tでは空間分解能の向上や多核種イメージングが可能になるなどのメリットがある一方で,SARの増加や初期の3Tの腹部領域で問題となったB1不均一が頭部で見られるなどの課題があると述べ,B1不均一に関しては,今後搭載予定のパラレルトランスミットの効果に期待しているとした。佐々木氏は,7Tでは主な基本的撮像法を無理なく使用可能で,特に脳血管疾患や脳腫瘍,外傷など脳神経領域では大きな発展が期待されると総括した。
次回の第40回日本磁気共鳴医学会大会は,2012年9月6日(木)〜8日(土)の3日間,富樫かおり大会長(京都大学大学院医学研究科放射線医学講座)のもと,国立京都国際会館にて開催される予定である。 |