(社)日本画像医療システム工業会(JIRA)は2011年6月1日,KKRホテル東京(東京都千代田区)で平成23年度通常総会を行った。総会後には,記者発表会を開き,加藤久豊会長らが出席。東日本大震災での対応状況や今年度の活動方針,来年度の診療報酬改定に向けた提言などについて報告した。
記者発表会の冒頭,加藤会長は東日本大震災の被災地に向けて,お見舞いの言葉を述べた上で,JIRAの対応について説明した。それによると,今回の震災でJIRAは被災地の医療従事者や救助作業者の安全確保のために装置の取り扱いなどについての情報提供を行ったほか,モダリティの貸し出し・保守サービスなどの被災地からの要請に対し会員企業が速やかに対応できるようガイドラインを作成した。また,行政からの指示を受けて震災関連の調査などを行い,その情報を提供した。さらに,JRC 2011の横浜開催中止を受けて,新たな試みとしてWeb上の展示会eITEM2011を開催している。このほか,JIRAとして300万円の義援金を送ったことを明らかにした。
この後,加藤会長から通常総会の議案が紹介され,今年度中に一般社団法人へと移行することが発表された。そして,今年度の活動方針として,医療画像システム産業の成長促進とJIRA基盤活動の強化という2つの柱について説明があった。画像医療システム産業の成長促進としては,安全・安心への取り組みと規制への適切な対応,経済性・有用性の適正評価,企業振興への取り組みを行うこととしている。具体的には,画像医療IT産業の強化,医療用アプリケーションソフトウエアの単独医療機器化,中小企業の成長への取り組みなどが挙げられた。一方,JIRA基盤活動の強化については,グローバル市場を視野に入れた国際活動,標準化活動,施策提言と連携活動を行うとしている。
その施策提言の重要な活動の1つとして,来年度の診療報酬改定における行政への提言があるが,これについて浜松 潔副会長と経済部会の野口雄司部会長がその内容の説明を行った。JIRAでは,厚生労働省に対し「安全保証」「精度保証」「運用保証」という3つの保証に基づく評価をすべきとして,これまで提言してきた。「安全保証」としては保守維持管理コストの明確化や「医療機器安全管理料」の適用拡大が挙げられる。また,「精度保証」については検像作業などに対して加算される「画像精度管理料」を求めている。「運用保証」に関しては,CT・MRIの撮影料について,現在の装置のスペックに対する評価ではない新しい評価体系を提案している。
JIRAでは,引き続き活動方針に基づいて,このような提言を行っていくとしている。 |