(株)日立メディコは2月7日(月),デジタル超音波診断装置「HI VISION」シリーズの最上級機種となる「HI VISION Ascendus(アセンダス)」の発売に伴い,本社(東京都千代田区)にて発表会を開催した。
日立グループの総力を結集し,世界最高性能の画質をめざして開発されたAscendusは,同社のデジタル信号処理回路Ultra BE(Ultrasound Broadband Engine)を進化させた Ultra BE II(Ultrasound Broadband Engine 2nd Generation)を搭載。これにより,高度な画像処理による更なる高画質化を実現した。また,同社が2003年に製品化した組織の硬さを画像化する Real-time Tissue Elastography(エラスト機能)を進化させ,リニア探触子を機械的に揺動させることで,ボリュームデータをリアルタイムに取得し,世界で初めてエラスト画像をリアルタイム3D表示する機能(エラスト4D)を搭載した。また,CTやMRIと超音波診断装置の断層画像をリアルタイムに並列表示するReal-time Virtual Sonographyなどの機能も搭載している。
また,デザインにおいては,2009年度グッドデザイン金賞を受賞した「HI VISION Preirus」のデザインを踏襲し,高い操作性を実現している。
発表会では,はじめに代表取締役執行役社長の三木一克氏が挨拶に立ち,Ascendusの位置づけについて説明した上で,開発にあたっての特記事項として,日立グループが総力を結集して開発したことと,2006年4月から行ってきたアロカ(株)との共同開発の成果が反映されている点を挙げた。同社は,2010年10月にアロカ(株)へのTOBを発表しており,Ascendusは両社が長年共同開発し,それぞれの優位技術を反映した,統合後初の新製品であり,2011年度以降プレミアム機として位置づけて,グローバルに展開したいと展望を語った。
続いて,マーケティング統括本部US戦略本部担当部長の岡田一孝氏より,Ascendusの製品説明が行われた。2つの特徴として,最先端技術によるプレミアム画質と新アプリケーション対応を挙げ,Ultra BE IIによりエラスト4D処理が可能になったことを強調した。そして,通常のB像の良好な空間分解能とコントラスト分解能を実現した上で,新アプリケーションとして,B像のリアルタイム画像解析によってEF(左室駆出率)を自動計測する“Eyeball EF計測機能”,造影剤の流入時間差を色づけして表示する“ITM(Inflow-Time Mapping)機能”について紹介した。
さらに,エラスト機能について解説し,B像とエラスト画像を併用することで,より多くの情報が得られることから,乳腺領域からはじまった臨床使用が,現在ではルーチン検査となり,甲状腺,前立腺,肝臓,膵臓,皮膚などでも盛んに研究が行われ,有用性が報告されていると述べた。また,任意方向の断面表示を特性として挙げ,水平方向の断面は,がんの浸潤の広がりを明瞭に描出するほか,手術時の断面と近いため直感的にわかりやすいと医師から評価を得ているとした。
営業・サービス統括本部国内営業本部US営業本部長の中村俊明氏からは,初年度は大学病院などを対象に国内外で500台を販売目標としていること,価格は一般的な構成で9500万円であることなどが説明された。中村氏は,世界に先駆けてエラストの開発を行ってきたことで,今回の4Dの発表で海外メーカーとも互角以上に競うことができ,またアロカ(株)と合わせて国内シェア1位となるので,今後も市場の期待に応えていきたいと抱負を述べた。 |