ファイルメーカー(株)は2010年10月29日(金),秋葉原コンベンションホール(東京都千代田区)において,「FileMakerカンファレンス2010」を開催した。
「つながり・組織力の再発見」をメインテーマに,FileMakerソリューション活用による業務改善の成功事例や,ソリューション開発の技術・手法などについて,さまざまな分野・テーマでのセッションが行われた。また,“ショウケース”コーナーでは,同社のパートナー(FileMaker Business Alliance:FBA)企業20社が,FileMakerを使ったソリューションの紹介や事例デモを行った。会場では,企業,ユーザーグループ,ファイルメーカー社スタッフの交流が図られ,大いに賑わいを見せた。
ソリューショントラックのセッションでは,医療分野の事例として,名古屋記念病院副院長の草深裕光氏による「医療現場のニーズから生まれた診療支援ソリューション:「早い」「安い」「上手い」をFileMakerで実現〜欲しいものは自分で……」と題した講演が行われた。日本ユーザーメード医療IT研究会(J-SUMMITS)のメンバーでもある草深氏は,同院において,業務の効率化や医療の質の向上,安全確保などのためにFileMakerを活用し,独自の診療支援ソリューションを作り上げていった経緯を説明した。同院では,サマリーのデータベース化からFileMakerの利用をスタートし,その後,入院管理,安全管理,栄養管理,感染管理,患者サービス,部門システムなどへと展開してきた。草深氏はこの経緯を時系列で解説した。また,安全管理の面から,ウルトラモバイルPCとバーコードリーダーを用いた携帯型認証システムを新たに構築。実際のツールの画面を表示しながら具体的な運用方法を解説し,外来化学療法室などにおける誤認リスクを回避できていると述べた。
草深氏は,FileMakerのメリットを,現場のニーズに合わせて自由にシステムを構築できること,必要に応じて迅速にカスタマイズできること,導入・追加コストが安価であることなどを挙げた。
今後のFileMaker活用の展望として,同院で2012年1月より稼働予定の電子カルテとの連携,HIS機能の補完などを挙げ,よりよい環境の実現に取り組んでいく意向を示し,盛況のうちにセッションは終了した。 |