6月25日(金),26日(土),東京コンファレンスセンター品川にて第20回日本心臓核医学会総会・学術大会が開催された。大会長を務めたのは,日本医科大学放射線医学教授の汲田伸一郎氏。これまで心臓核医学は虚血性心疾患の診断を軸として豊富なエビデンスを構築し,発展を遂げてきた同学会が,近年は心臓画像診断におけるCT,MRIなど他のモダリティの使用が普及してきた背景を受けて,同学術大会では「マルチモダリティ時代の心臓核医学」がメインテーマとして掲げられた。
26日の学術大会では,まず汲田大会長の開会の辞の後,40歳未満の研究者を対象とした第10回若手研究者奨励賞審査講演が行われ,4名の研究者が講演を行った。その後,午前中は大ホールでは一般講演が行われ,並行して別会場にて,技術部門シンポジウム「心筋SPECT画像の標準化に向けて―あなたの施設は大丈夫ですか―」,および教育講演2演題(1.より良い心筋SPECT画像の作り方:三村浩朗氏・川崎医科大学附属病院中央放射線部,2.心筋SPECT技術最前線:越野一博氏・独立行政法人国立循環器病研究センター研究所 画像診断医学部)が行われた。
午後に入ると,まず第10回若手研究者奨励賞表彰式および総会から始まり,次に京都府立医科大学大学院医学研究科放射線診断治療学教授の西村恒彦氏による特別講演「診断・治療連関における心臓核医学の役割」,駿河台日本大学病院循環器科の松本直也氏による第11回学会賞受賞講演「マルチモダリティ時代における心筋血流イメージングの役割」が行われた。
続いて,最終プログラムとして,大会テーマ「マルチモダリティ時代の心臓核医学」に連動したラウンドディスカッション「マルチモダリティを駆使した虚血心の統合評価」が行われた。同ディスカッションでは心臓CT,MRI,SPECTの専門家6名により,心臓画像診断における今後の方向性,共存共栄の手法に関して検証がなされた。
汲田大会長は,今後の医療は1つのモダリティのみではなく,あらゆるモダリティを効率良く使用して診断していくのが好ましい。そして,患者さんに侵襲性が少なくて費用も抑えられるやさしい画像診断を提供していきたい。そのためにも,今後も他のモダリティの専門家を招いて活発な議論の場を設けていきたいと,同学術大会を締めくくった。
次回,第21回日本心臓核医学学会総会・学術大会は「心臓核医学と社会への貢献」をテーマに,天神会 新古賀病院の福山尚哉氏が大会長を務め,2011年6月24日(金),25日(土)に福岡国際会議場(福岡県)で行われる。
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