NEC医療セミナー2010東京が,2月19日(金),NEC本社ビルで開催された。医療セミナーは,病院運営や電子カルテなど医療ITのトピックスを取り上げた講演と,NECと関連企業のシステム展示を中心に毎年開催されている。
講演に先立って挨拶したNECの医療ソリューション事業部・事業部長の山口琢也氏は,医療ITをめぐるトピックスとして,2350億円の地域医療再生交付金と診療報酬の10年ぶりのプラス改定を挙げて,同社のソリューションである地域医療ネットワークサービスの「ID-LINK」や電子カルテシステム「MegaOakシリーズ」を充実させることで対応していきたいと述べた。また,NECでは総務省の「医療分野におけるテレワークモデルシステム実験」に参画しており,こうしたITを活用した取り組みが地域医療の再生や医師不足といった課題に貢献できると期待していると語った。
講演Iでは,大阪厚生年金病院の院長である清野佳紀氏が「働きやすい病院をめざして〜ワークライフバランスの視点から」として,医師不足,勤務医不足が問題になる中で,病院として職員の労働環境の改善に取り組んで成果を上げている同病院の取り組みを紹介した。清野氏は,勤務医不足の問題は若い世代で女性の割合が増えていること(29歳未満では約35%)で,出産や育児といったライフサイクルを支援できる労働環境にすることが重要になると述べ,時短や残業・当直免除で正職員として働ける体制や地域の開業医と連携した支援体制の取り組みを紹介した。
続いて,大阪府立急性期・総合医療センターの泌尿器科部長・クリニカルパス推進委員会委員長の細見昌弘氏が「みんなのためのバリアンス分析」を講演。同センターでは,2007年からクリニカルパスを軸とした電子カルテシステムとしてMegaOakHRを導入している。昨年に続いての登場となった細見氏は,MegaOakHRでのバリアンスの自動発生機能の概要とその運用を紹介し,バリアンスの分析による診療内容の見直しや,バリアンスから新たな問題点を抽出する方法など,電子クリニカルパスの実践的な活用事例を講演した。
システム展示では,電子カルテシステムとしてNECの「MegaOakHR」や(株)シーエスアイの「MegaOak-MI・RA・Is/EX」のほか,看護支援や医事・DPCなど部門システムまで幅広く紹介した。また,地域医療連携サービス「ID-Link」,電子タグ(RFID)を活用した「ベッドサイド自動認証システム」などのソリューションや電子カルテ向けの高精細液晶ディスプレイなど周辺機器・システムを含めて多くのソリューションを出展した。
また,プレゼンテーションコーナーでは,展示のトピックスの紹介やNECの電子カルテにおけるクリニカルパス機能の解説のほか,17日に発表されたコンティニュア・ヘルス・アライアンスの最新の活動状況を,インテル(株)の風間博明氏(デジタルヘルス事業部インダストリーアライアンス部長兼公共事業統括部事業開発部長)が講演した。
なお,2月26日(金)には,同内容で大阪(ホテルニューオータニ大阪)でも開催された。 |