(株)日立メディコは,5月20 日(水),世界初となる半導体プロセスによる医用超音波探触子「Mappie」を発表した。今後,乳腺領域向けに発売を予定している。
Mappieは,日立グループの総力を結集して世界で初めて実用化に成功したcMUT技術*を採用したことにより,従来の探触子に比べ広帯域となり,高分解能な画像を実現した。シリコンウエハ上に形成した多数の微小な太鼓を電気的に振動させることで超音波の送受信を行うcMUTは,音響インピーダンスが原理的に人体に近いため,従来の圧電セラミックスを使用した探触子で必要だった介在層が必要ない。そのため,超音波信号の劣化が極めて小さくなり,効率良く人体に超音波の送受信を行うことが可能となった(詳細はこちらへ)。
同日,同社大会議場(千代田区)において開催された記者発表会では,はじめに執行役社長の浜松 潔氏が挨拶に立ち,「探触子は,超音波診断装置のコアとなる部品である。今回,日立グループ全体を挙げて,発想を変え,素材を変え,新しい技術を応用し,理想的な探触子を開発した。超音波の画質を画期的に変えることはもちろん,さまざまなメリットが得られる」とMappieを紹介した。
続いて,マーケティング統括本部US戦略本部担当部長の岡田一孝氏がMappieの開発背景や特長を説明。岡田氏は,「世界ではじめて半導体プロセスによる探触子を実用化したことにより,今後,乳腺領域を中心に画期的な成果が期待できる」と述べた。
* cMUT:capacitive Micro-machined Ultrasonic Transducers
マイクロマシン技術(半導体プロセス)による容量性の超音波送受信素子 |