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日立メディコ
半導体プロセスによる医用超音波探触子
「Mappie」の実用化に世界で初めて成功

(2009/5/20)

●問い合わせ先
(株)日立メディコ
マーケティング統括本部 US戦略本部
TEL 03-3526-8309
http://www.hitachi-medical.co.jp/

「Mappie」 外観

 (株)日立メディコは,半導体プロセスによる医用超音波探触子「Mappie」(マピエ)の開発,実用化に世界で初めて成功した。「Mappie」は,原理的に広帯域特性で高画質が得られるcMUT*1の技術を世界で初めて採用しており,乳腺領域向け探触子として発売を予定している。

 なお,5月22日から5月24日に東京で開催される日本超音波医学会第82回学術集会で「Mappie」を展示する。

 探触子(プローブ)は超音波診断装置に接続され,超音波を人体内部に向けて送信して,人体の内部組織における音響インピーダンス*2の違いで発生する反射波を受信する。探触子の内部には振動子と呼ばれるセンサが配置され,電気−音響変換作用により超音波信号と電気信号の変換を行っている。従来の振動子材料には,電気を加えると歪む性質を利用した圧電セラミックスなどが使用されている。圧電セラミックスを使用した探触子では,人体と振動子の間に音響インピーダンスの大きな差があり,介在層により音響インピーダンスの整合を取る必要がある。そこで,介在層による音響インピーダンスの整合を必要としない探触子が求められていた。

●主な特長

 「Mappie」は,世界中で実用化を目指して研究されているcMUT技術を採用。
 cMUTは,シリコンウエハ上に微小な太鼓を多数形成し,電気的に太鼓を振動させることで超音波の送受信を行う。音響インピーダンスが原理的に人体に近いので,介在層を必要とせず,超音波信号の劣化が極めて小さく,効率良く人体に超音波の送受信を行うことができる。
 「Mappie」は,このcMUT技術の実用化により,従来の探触子に比べ広帯域の特性となり,高分解能な画像を実現した。

*1: cMUT: capacitive Micro-machined Ultrasonic Transducers マイクロマシン技術(半導体プロセス)による容量性の超音波送受信素子をいう。
*2:音響インピーダンス: 音が伝播する組織の密度と音速の積で表される値で,周囲組織と反射体との音響インピーダンスの差が大きいと反射波が強くなる。