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取材報告

2008

富士フイルム,「第28回 医療情報学連合大会」で
既存PACSを用いた施設間連携をテーマにセミナーを開催


座長:根本明宜氏(横浜市立大学附属病院)
座長:根本明宜氏
(横浜市立大学附属病院)

萩原浩明氏(横浜市立大学)
萩原浩明氏
(横浜市立大学)

藤本正代氏(富士ゼロックス(株))
藤本正代氏
(富士ゼロックス(株))

会場風景
会場風景

企業展示会場の同社ブース
企業展示会場の同社ブース

医療連携ソリューション
医療連携ソリューション

 11月25日(火),「第28回 医療情報学連合大会(第9回日本医療情報学会学術大会)」において,富士フイルムメディカル(株)が共催するランチョンセミナー「既存PACSを用いた施設間連携の取り組み」が開催された。横浜市立大学附属病院医療情報部部長の根本明宜氏が座長を務め,2題の講演が行われた。

 横浜市立大学医学部放射線医学助教の萩原浩明氏が,「PACSの閲覧権制御による施設間連携システムの開発と課題」と題して,富士フイルムメディカルの医用画像情報システム「SYNAPSE」を用いて,横浜市立大学,神奈川県立こども医療センター,自治医科大学,富士フイルムメディカルが共同で行う「既存の『医用画像情報システム』を活用した,施設間連携による効果的放射線画像診断教育および臨床サポート運用に関する研究」について講演した。萩原氏はまず,現在の画像診断の状況について,画像診断機器の発達により,情報が増加している一方で,画像診断医の人的資源の不足や偏在が起きているなどの問題点を挙げ,画像診断医の人的資源を有効活用するために,コンサルテーションや教育を目的とした施設間連携システムを構築することが共同研究の目的だとした。また,個人情報保護に対する安全管理対策の重要性を強調した。萩原氏は,同システムは施設間のPACSをネットワーク結合させ,相互に画像の閲覧が可能なものだと説明。特徴として,画像データの転送が不要なことや過去画像や他検査の画像も必要に応じて閲覧が可能であること,既存のPACSを用いることで遠隔読影をするための新たなインフラ整備が不要であることを挙げた。そして,画像の閲覧権限を制御することで,既存PACSを利用した施設間連携システムを構築することが可能であるとし,画像診断医,病院間の連携に有用であり,またデータセンターが不要な新たな遠隔画像診断ビジネスの可能性も考えられるとした。

 続いて,富士ゼロックス(株)マネジメントイノベーションオフィスシニアマネジャー/筑波大学客員教授/情報セキュリティ大学院客員教授/中央大学研究開発機構客員研究員の藤本正代氏が,「既存PACSを用いた遠隔読影システムにおけるセキュリティ検討と対応−経営母体が異なる施設間連携システムにおけるセキュリティ検討」と題して講演した。施設間連携においては個人情報を共有することが必要となることから,個人情報保護に関する法制度について,厚生労働省のガイドラインと地方公共団体の条例について説明した。そして,これらを踏まえた上で患者の情報を共有するにあたり必要なセキュリティ対策を検討した結果などを説明。画像診断医不足の現状を考えると,個人情報漏えいリスクに対する社会的受容性とのバランスをワークショップなどで明らかにし,技術利用の可能性を継続的に検討することが必要であるとまとめた。

 また富士フイルムメディカルは,本大会の企業展示会場にブースを出展し,同システムを医療連携ソリューションとして紹介した。


●問い合わせ先
富士フイルムメディカル株式会社
TEL 03-6419-8033
http://fms.fujifilm.co.jp/