ブレインラボ(株)は,11月11日(火),LEVEL XXI(東京・千代田区)において,高精度放射線治療統合システム「Novalis Tx」(以下,Novalis Tx 統合システム)の国内初導入記念メディアセミナー「放射線がん治療における専門クリニックの役割」を開催した。
1989年にドイツで設立され,脳神経外科,放射線外科,耳鼻咽喉科,整形外科分野における医療機器の開発・製造・販売を行う同社は,約1000人の従業員のうち,エンジニアが4分の1を占めるなど,技術開発に大きな力を入れている。同社の画像誘導手術向けソフトウエアおよびハードウエア,定位放射線治療システムは,世界70か国以上の医療機関に導入され,総数は約3000に上る。またこのほか,各診療科の連携と院内の効率化を支援する病院全体をネットワークで統合するソリューションなども提供している。
全身の定位放射線治療が可能なNovalis Tx 統合システムは,従来のX線と赤外線に加え,On Board Imager(CT画像)による高精度な位置決め装置を搭載している。また,照射野は22cm×40cmに拡大し,従来よりも大きな病変に対応できるほか,2.5mmと薄いマルチリーフコリメータで,より高精度な照射を実現した。さらに,搭載されている高性能リニアックにより,腫瘍の周辺組織への侵襲を最小限に抑えながら,最大1000MU/分の照射線量率で放射線を集中的に照射できる。
セミナーでは,はじめに同社の松村友隆氏が,事業内容やNovalis Tx 統合システムの特長を説明した。続いて,医療法人社団人優会 熊本放射線外科院長の古後佳生氏が,「がん治療における地域医療の必要性−Novalis Tx 統合システム導入への期待」と題して講演した。同クリニックでは現在,NovalisとサイバーナイフUの2台の定位放射線治療装置が稼働している。Novalisによる転移性脳腫瘍の治療症例数は,2005年5月から2008年10月までで世界最多の約2000例に上る。古後氏は,Novalisによる治療の臨床画像を示して装置の特長や治療実績などを説明した。その上で,Novalis Tx 統合システムの導入により,同クリニックのみで定位放射線治療と全脳照射の両方が可能になることで,患者の精神的,経済的な負担を軽減することができると,期待を述べて講演を締めくくった。 |