医療情報システムを手がけるインターシステムズジャパン(株)は,10月24日(金),オリベホール(東京・港区)において,「病院経営と診療のためのIT活用実践セミナー『InterSystems in Healthcare Seminar 2008』」を開催した。インターシステムズは1978年に米国で設立され,医療,金融,通信業界のシステム開発を行っている。米国ではジョン・ホプキンス・ホスピタルやメーヨー・クリニックなどの有力病院も同社のユーザーであり,英国のナショナル・ヘルス・サービスやスウェーデンの全国電子医療記録プロジェクトにもシステムを提供している。日本国内では,2003年に日本法人が設立され,名古屋大学や岐阜大学,宮崎大学などの大学病院の医療情報システムにもデータベース製品である「Caché」が採用されている。
セミナーでは,まずインターシステムズジャパンの代表取締役社長・日本統括責任者の植松裕史氏が国内外の医療分野におけるこれまでの実績など事業展開の紹介をしたほか,製品構成について説明した。これに続き,宮崎大学医学部附属病院医療情報部教授・経営企画部副部長の荒木賢二氏が「DPC時代の情報化戦略と病院経営」と題した基調講演を行った。荒木氏は,同院のDPCデータにおいて,イレギュラーな収支を示した症例を財務アウトライヤー症例として,その要因を分析し,経営改善に結びつける手法を紹介した。その上で,同院が運用するCachéベースの電子カルテシステム「IZANAMI」について説明した。
続いて,小牧市民病院内科部長・医療情報システム室長の近藤泰三氏が講演した。演題は「病院のオーダメードIT化は可能か?−小牧市民病院での取り組み」。同院は,Cachéベースの電子カルテシステム「Curela」を導入し,外来で稼働している。近藤氏は,オーダリングシステム未導入施設ながら,同院に見合ったシステムの開発を段階的に行っていくことでスムーズな運用を実現していることを報告した。この後,「Caché/Ensembleを活用した次世代の医療情報二次利用ソリューションCDR-CiDARの紹介」と題し,日本ダイナシステム(株)の嶋 芳成氏が講演した。嶋氏は電子カルテシステムの問題点を操作性と処理速度にあると指摘。そして,処理速度を飛躍的に改善するためのクリニカル・データ・リポジトリ(CDR)の概念について説明した上で,「CiDAR」の仕組みと活用方法を紹介した。 |