有限責任中間法人 日本IHE協会は,10月27日(月)〜31日(金)の5日間,東京都立産業貿易センター台東館(台東区)において,コネクタソン2008を開催した。コネクタソンは,IHEの策定するテクニカルフレームワークに基づいたシステム間の相互接続性を検証する接続テストである。放射線部門,循環器部門,臨床検査部門,ITインフラストラクチャ分野に関するテストが実施され,40社,72システムが参加した。放射線部門の統合プロファイルでは,可搬媒体による画像交換に関するPDI(Portable Data for Imaging)やマンモグラフィの画像表示に関するMAMMO(Mammography Image)の接続テストが多く見られるようになってきたほか,循環器部門や臨床検査部門の参加ベンダーも年々増加している。評価結果の公表は,11月23日(日)〜25日(火)にパシフィコ横浜会議センターで開催される,第28回医療情報学連合大会の開催前を予定している。
また今回,コネクタソンでは初の試みとして,29日(水)に会場内で「IHEセミナー」と見学会が開催され,病院関係者も参加した。
セミナーは3部で構成された。第1部「IHE概要」では,まず普及推進委員会委員長/(独)放射線医学総合研究所重粒子医科学センター病院医療情報課長の安藤 裕氏が,海外を含めたIHEの歴史や活動内容を紹介した。安藤氏は,業務シナリオを改善する最良の方法がIHEに則ったシステム導入であるとメリットを強調。また,現在IHEの業務シナリオは,放射線科領域だけでなく,そのほかのさまざまな領域へ拡大してきており,将来的にはすべての診療科をカバーできる医療情報システムを構築することが可能になると展望を述べた。続いて,技術担当理事(IHE)/コニカミノルタエムジー(株)の吉村 仁氏が,コネクタソンに関して,これまでの実績や接続テストの手順,合格条件などを説明した。
第2部は,「各検討領域(ドメイン)について」が行われた。はじめに吉村氏が放射線部門におけるIHEの取り組みを紹介し,現在,核医学やマンモグラフィといった特徴のある検査に特化した統合プロファイルの開発が進んでいると述べた。また,制度や規制,業務慣行の違いなどから各国の事情にあった統合プロファイルの開発が必要な時代になってきていると指摘した。続いて,循環器部門,臨床検査部門,ITインフラストラクチャ分野におけるIHEの現状が各担当者より説明された。
第3部「ユーザーの立場から」では,名古屋広小路クリニックの江本 豊氏が,「臨床現場からの期待」と題して講演。江本氏は,システム導入時だけでなく,導入後の装置やシステムの追加の際に必要となる接続作業やテストに費やせる時間とコストは限られていると臨床現場の状況を説明。その上で,IHEには,ユーザーとベンダーの架け橋となることを期待すると述べた。また,ベンダーがIHEにおける活動を通して培った経験は確実に現場に反映されているとし,IHEに準拠した製品の提供に向けた各企業の取り組みに期待を示した。 |