GE横河メディカルシステム(株)は10月18日(土),泉ガーデンギャラリー(東京・港区)において,「GE Healthcare Advanced Seminar 2008」を開催した。MRI,ヘルスケアIT,アンギオシステム,CTの4つのテーマが設けられ,大阪会場(大阪国際会議場3FイベントホールA・B)と高速光回線で結び,ライブ中継も行われた。開会に先立ち挨拶した同社代表取締役社長の熊谷昭彦氏は,今後も臨床有用性の高いモダリティを提供していきたいと参加者にアピールした。
この挨拶に続き,大阪会場で第一部のMRIのセッションが行われた。座長は,神戸大学大学院医学系研究科放射線医学分野教授の杉村和朗氏。総合病院聖隷浜松病院放射線科部長の増井孝之氏が「Volume MRの臨床応用トピックス」をテーマに講演した。増井氏は,MRIの最新トピックスとして,Volume Application,脂肪抑制法,非造影MRAをキーワードとして挙げ,順を追って説明した。Volume Applicationとして,増井氏は,T1強調像におけるGd-EOB-DTPAを用いたLAVA,3D Dual Echo,MEDALについて解説。T2強調像のアプリケーションとしてはCubeについて説明した。また,脂肪抑制法のアプリケーションとしては,IDEALを紹介した。さらに増井氏は,非造影MRAのアプリケーションであるIFIR,Flow Prepの有用性も報告した。
続いて,東京会場でヘルスケアITをテーマにした第二部が行われた。東京大学大学院医学系研究科放射線診断学教授の大友 邦氏が座長を務め,京都プロメド株式会社取締役画像診断センター長の河上 聡氏が「遠隔画像診断〜院内で成熟したシステムが外部に目を向ける時代へ」と題して講演した。河上氏は,彦根市立病院に勤務していたときに構築したPACSや2005年から同院と京都大学医学部附属病院とをネットワークで結んで取り組んだ遠隔画像診断について紹介した。河上氏はこの経験を踏まえ,2007年に独立。京都大学と協力しながら,遠隔画像診断サービスを開始した。河上氏は講演のまとめとして,PACSの構築にはマシンインターフェイスよりもヒューマンインターフェイスが重要だと述べた。
アンギオシステムをテーマにした第三部は大阪会場で行われた。大阪医科大学放射線医学教室教授の鳴海善文氏が座長を務め,近畿大学医学部放射線診断学部門のノ生行伸氏が,コーンビームCT(CBCT)をテーマに,「Innova 4100IQによる体幹部Conebeam C-arm CT」と題して講演した。ノ生氏は,CBCTの利点として,分解能の高さや,ボリュームデータが得られる点,CTライクな画像が容易に撮影できることを挙げた。その上で,HCCなどにおける使用例として症例画像を提示しながら説明した。最後にノ生氏は,CBCTは診断用途では発展途上であるが,IVRでは有用性があり,さらなる画質と演算処理速度の向上が求められるとまとめた。
最後に東京会場から第四部のCTセッションが行われた。座長は慶應義塾大学医学部放射線診断科教授の栗林幸夫氏が務めた。先に,GE横河メディカルシステムのCTセールス&マーケティング部の紫藤尚利氏が,「GEが開く新世代のCT技術 -基礎技術の紹介-」と題し,CT750 HDの技術を説明した。CT750 HDは,新開発のGemstone Detectorを搭載し空間分解能を向上,spectral imagingも可能としている。また,最大312.5mmの4D撮影もできる。低被ばく技術としては新しいアルゴリズムであるASIRを採用している。紫藤氏の解説に続き講演した,ニューヨーク・プレスビテリアン・ホスピタル・ウェイル・コーネル・メディカル・カレッジ循環器部門医学放射線科准教授のジェームス・K・ミン氏は,その使用経験について報告した。ミン氏は,従来の64スライスCTでのCTAの問題点として,カルシウムの評価,肥満体の被検者でのノイズ,高心拍,ステントの描出能などを挙げた。そして,これらの課題がCT750 HDによって解決されると説明した。ミン氏は,このほか,ASIRでの低被ばく化や,デュアルエナジーによるspectral imagingでのプラークや心筋の評価についても言及した。
会場内では,CT750 HDに搭載された新開発のHD Tubeも展示されるなど,各モダリティも紹介され,参加者にとって有意義なセミナーとなった。 |