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取材報告

2008

民間初の陽子線治療センターが開設 −南東北がん陽子線治療センター


渡邉一夫(財)脳神経疾患研究所理事長
渡邉一夫
(財)脳神経疾患研究所理事長

不破信和南東北がん陽子線治療センター長
不破信和
南東北がん陽子線治療センター長

南東北がん陽子線治療センター 外観
南東北がん陽子線治療センター
外観

南東北がん陽子線治療センターに導入された陽子線治療装置 (回転ガントリー照射室)
南東北がん陽子線治療センターに導入された陽子線治療装置
(回転ガントリー照射室)

 国内の民間医療機関では初めて,陽子線によるがん治療施設「財団法人脳神経疾患研究所附属南東北がん陽子線治療センター」が10月1日(金),福島県郡山市に開設される。それに先立ち,9月17日(水)に経団連会館(東京・千代田区)において,(財)脳神経疾患研究所理事長の渡邉一夫氏および同センター長の不破信和氏による講演と記者説明会が行われた。

 陽子線は,体内のある一定の深さに達したところで放射線量がピークに達するという特性を持ち,陽子線治療においては,正常細胞をほとんど傷つけることなく,がん病巣のみへの正確な照射が可能である。そのため,きわめて非侵襲的であるが,施設の建設・維持費用は膨大であり,これまで国内で施行可能な施設は公的な6施設のみだった。民間初の同センターは,回転ガントリ照射室2室,水平固定照射室1室,ベッド数19床という規模である(陽子線治療装置は三菱電機社製)。費用は全額患者負担で300万円(税込),年間450例以上をめざす。

 渡邉理事長は,高齢者にやさしく外来による治療も可能な陽子線治療の恩恵をより多くの患者さんに提供したいと導入の目的を説明。高齢化やライフスタイルの多様化が進む中,夜間や休日でも柔軟な対応が可能な民間センターの意義を強調した。総合南東北病院や南東北医療クリニックなどと連携して総合的な治療を提供していくという。

 また,不破センター長は,同センターの今後の取り組みについて,進行がんへの適用による局所制御の改善と副作用の軽減による治療成績の改善,化学陽子線療法の確立などに取り組み,がん治療学の発展に貢献したいと述べた。

■陽子線治療の適応
適応(対象)は、先行する陽子線治療施設での経験で鼻腔や副鼻腔、上・中咽頭、唾液腺 などの頭頸部、肺、肝臓、前立腺などの原発性がんと、単発性の転移性腫瘍が考えられる。

・「南東北がん陽子線治療センター」の治療開始時期

2008年10月中旬
前立腺がん 74〜78GyE 37〜39回/7.4〜8週
2009年2月予定
頭頸部がん 65GyE 26回/5.2週
直腸がん 術後局所再発 74GyE  37回/7.4週
脳の悪性腫瘍 60GyE 30回/6週
2009年4月予定
転移性腫瘍(単発腫瘍) 56GyE 8回/1.6週
非小細胞肺野型肺がん 60GyE 10回/2週
肺がん 80GyE 20回/4週
肝がん 60GyE 10回/2週
肝がん(一部の転移性肝がん) 76GyE 20 回/4週
食道がん 65GyE 26回/5.2週

■(財)脳神経疾患研究所 附属「南東北がん陽子線治療センター」の概要
建設場所
〒963-8563 福島県郡山市八山田七丁目172 総合南東北病院隣接
センター長  不破信和
治療棟  2,370平方メートル
延床面積  約6,500平方メートル
病床数  19床
ビーム種  陽子線
エネルギー  70〜235MeV
治療室  回転ガントリー照射室:2室  水平固定照射室:1室


●問い合わせ先
南東北がん陽子線治療センター
〒963-8563 福島県郡山市八山田7-172
TEL 024-934-5322
http://www.southerntohoku-proton.com/