8月2日(土),3日(日),昭和大学横浜市北部病院において,PACSのシステム更新に伴い新しくなった読影室の見学会が行われた。この見学会は,両日にわたって開催された第10回医用画像認知研究会,第10回遠隔画像診断部会,第8回画像診断報告書研究会,第15回IHEワークショップ,第37回JPACS医用画像電子化研究会の開催に合わせて実施された。
同院では,2001年4月の開院時からPACSを稼働させ,フィルムレス運用による放射線部門検査の即時読影を行ってきたが,2008年5月にシステムを更新。画像配信の高速化などを図った。
新PACSは横河電機(株)が手がけたもの。読影セットは,(株)ナナオ製のモノクロモニタ6面とカラーモニタ1面に加え,レポートシステム用のモニタがデスクのガラストップ下に据えられている。同院放射線科教授の櫛橋民生氏によると,新システムは,読影医の負担を軽減することをねらいとしており,マウス操作を極力排した読影環境となっている。その代表的な機能の1つが新たに開発したコントロールボックスと呼ばれる専用のキーパッドである。これは,機能が割り当てられたキーを押すだけで実行できるもので,マウスでモニタ上のカーソルを動かすといった作業が不要になり,直感的な操作が可能である。また,ボイスコマンダーによる操作や,足下に配したフットペダルで,シリーズになっている画像データの送り戻しといった作業ができるようになっている。
この同院オリジナルの読影セットは,本棚が設けられているなど,読影医の業務を考えた設計となっている。デザインは同院放射線科講師の浮洲龍太郎氏が手がけ,横河電機がモデリングを行い,それをもとに放射線科のスタッフ間で検討を重ねてつくり込んでいったという。読影室にはこの読影セットが8セットのほか,モノクロ2面,カラー1面の3面モニタのタイプが3セット,カラーとモノクロ各1面のタイプが1セット配備されている。
櫛橋氏は,今後この読影セットが,読影業務にどのような影響を及ぼすのか検証していくと述べている。さらに,同院では,読影医の負担を減らし,読影効率を上げるためにも,ボイスコマンダーの機能の拡張も進めていくことにしている。
CTの多列化やMRIの高磁場化により,検査データが増大し,読影医の業務量が増えているだけに,同院のような読影環境の整備は,ますます重要になってくるだろう。 |