第27回日本医用画像工学会大会(JAMIT Annual Meeting 2008)が8月5日(火),6日(水),法政大学小金井キャンパスで開催された(大会長:尾川浩一・法政大学大学院工学研究科情報電子工学教授)。今回は,JAMITとCADM(コンピュータ支援画像診断学会)との統合を目前に控えて記念シンポジウムが企画されるなど,新たな展開を期待させる大会となった。
JAMITは1978年,前身である「CTの物理技術的諸問題」に始まり,「医用画像工学シンポジウム」時代を経て1990年に学会となり,今日に至っている。医用画像におけるイメージングやセンシングを中心に,医学と工学にまたがる研究開発を産学連携で行うことを目的として活動してきた。会員数は約500名を数える。一方CADMは,1991年にコンピュータによる画像診断の支援研究を目的に設立され,臨床医学と工学の医工連携によりCADの発展と実用化を目指して活動してきたが,会員数は現在170名と,ここ数年横ばい状態が続き,論文投稿数も低迷するなど,学会の活動継続がかなり困難な状況にあった。そこで,CADMを一旦解散し,同じ医用画像領域を対象とし,会員の重複も多い(170名中70名)JAMITと合併することが提起され,2007年9月に正式決定された。8月5日のJAMIT総会での了承を経て,9月30日をもってJAMITとCADMの統合が実現することになった。統合後,CADMの長谷川純一会長(中京大学情報理工学部教授)はJAMIT副会長に就任し,CAD委員会を設置してCADM研究の継続を図ることなどが予定されている。また,CADMが続けてきたユニークな試みであるCADシステムアルゴリズムコンテストも継承される。
統合記念シンポジウム「JAMIT meets CADM:統合に期待されるCAD研究の未来」は,両学会の会長や役員による報告が行われた。「第1部:学会の統合に当たって」において,長谷川純一CADM会長がCADMの歴史と理念を解説し,赤塚孝雄JAMIT会長(山形大学名誉教授)は,この統合により,新たな目,新しい芽を増やし,形にとらわれない挑戦と,より一層の発展を希望すると述べた。清水昭伸氏(東京農工大学大学院共生科学技術研究院)からは,CADシステムアルゴリズムコンテストや画像データベースの開発と販売など,CADMの学術研究資産が紹介された。「第2部:CAD研究の課題と未来」では小畑秀文氏(東京農工大学学長)が,米国で初めてCADシステムが発売されて以来,わが国のCADの研究や普及の遅れを“失われた10年”と喩え,“新たなるCAD元年をJAMITから”と,今回の統合への期待を語った。さらに,工藤博幸氏(筑波大学大学院システム情報工学研究科),佐藤嘉伸氏(大阪大学大学院医学系研究科画像解析学)が,イメージングとCADの融合による発展や,治療支援(CAS)との融合などに期待すると述べた。
次回の第28回大会は,2009年8月(予定),名古屋(会場未定)にて長谷川純一会長のもと開催される予定である。 |