アロカ(株)は7月24日(木)〜26日(土),六本木アカデミーヒルズ40(東京・港区)において,「ALOKAテクノロジーフェア2008」を開催した。このテクノロジーフェアは,隔年で開催されているもので,今回で22回目。「見えない不安から,見える安心へ」というテーマのもと,同社の製品・技術を展示。医用電子装置,医用分析装置,汎用分析装置など,136点を紹介した。また,学術講演会も行われ,4会場で各製品分野ごとにプログラムが組まれた。
初日には,報道関係製品発表会が行われた。この場において,代表取締役社長の吉川義博氏から,新しいコーポレートブランド戦略が発表された。同社は,2007年9月から,ブランド戦略について検討を進めていた。発表されたのは,アロカコーポレートブランド宣言とブランドステートメント。アロカコーポレートブランド宣言は,アロカのビジョン(存在意義)「兆しや変化をみることで,人や社会の安心は,もっと確かなものとなる。」,アロカのミッション(使命)「見えないものを見えるようにして,課題の本質に迫り,解決に導く。」,アロカのバリュー(価値)「確かな予知がもたらす人や社会への安全・安心」が掲げられた。これは,変化や兆しをいち早くとらえるという早期発見,早期治療に結びつく製品を提供する同社の姿勢を示すものである。一方,ブランドステートメントは,変化(Change)をいち早く照らすといった意味を込めて,「Illuminate the Change」と定めた。同社は2010年に創立60周年を迎えるが,今後はそれに向けて,今回策定したブランド戦略のもとに活動を展開していく。吉川氏は,ブランド戦略の策定によって「医用電子装置,医用分析装置,汎用分析装置の3事業の連携を強化させ,『商品戦略』,『コミュニケーション』,『社員の意識』の3つを柱にブランドイメージを向上させていく」と述べた。
ブランド戦略の発表に続き,各分野の新製品の発表があった。医用電子装置分野では,超音波診断装置「プロサウンド α7」,「プロサウンド 6」,「プロサウンド 2」,前腕用骨塩量測定装置「DCS-600EXV」,実験動物用X線CT装置「Latheta LCT-200」シリーズが紹介された。また,医用分析装置分野では,検体高速処理システムや要素技術として穿刺分注技術などの説明があり,汎用分析装置分野では,ラギッドシンチレーション検出器が紹介された。
報道関係製品発表会の後,受付にて開会式が行われた。吉川氏,順天堂大学名誉教授の和賀井敏夫氏,元東京大学教授の坂本二哉氏,埼玉医科大学専務理事の尾本良三氏によるテープカットが行われた。展示会場内は,医用電子装置,医用分析装置,汎用分析装置の分野ごとに構成され,受付からすぐのところに医用画像電子装置のエリアが設けられた。このエリアでは,乳腺,産婦人科,消化器,循環器の領域ごとに超音波診断装置など関連製品が設置され,説明員による解説が行われていた。また,プレゼンテーションコーナーが用意され,デモンストレーションが行われたほか,最新技術を紹介するコーナーや近未来の超音波診断装置のデザイン・スタディ・モデルなどが展示され,来場者の注目を集めていた。
2006年12月に世界で初めて超音波診断装置の累計生産台数が20万台を達成したパイオニアであり,放射線測定装置や検体検査装置の国内トップメーカーである同社であるが,このフェアでは,その最先端の技術を一堂に集めて目にすることができ,多くの来場者にとっても有意義な展示会となった。
プロサウンド α7。上位機種のα10の機能を採用しつつ,小型・軽量化を実現。省電力化も図っている。ブロードバンドハーモニクスとDirectional eFlowにより優れた画質性能を持つ。 |
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プロサウンド 6。上位機種の機能を搭載したモノクロ装置。コンパクト設計とシンプルな操作性が特長である。 |
プロサウンド 2。ポータブルタイプで,ベッドサイドでの使用や院外への持ち出しにも対応する。 |
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実験動物用X線CT装置のLatheta LCT-200シリーズ。従来の100シリーズから大幅に解像度が向上している。 |
超音波診断装置のデザイン・スタディ・モデル |
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ラギッドシンチレーション検出器による「β線シンチレーションサーベイメータ」。新開発のフィルム一体型プラスチックシンチレータにより,膜破損を劇的に減らし,容易な放射線測定を可能にする。 |
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