第二世代超音波造影剤「ソナゾイド」の臨床的エビデンスの創出と普及を目的とする第2回ソナゾイド研究会(第一三共株式会社主催)が,7月12日(土),東京国際フォーラムにおいて開催され,医師や技師を中心に約360人が参加した。
ソナゾイドは,2007年1月に世界で初めて,日本で認可され販売が開始された。他の第二世代超音波造影剤に比べて,やや高い音圧で用いられることと,Kupffer 細胞イメージを持つ点が特徴であり,現在は肝腫瘍性疾患における保険適応が認められている。
研究会は,基礎,診断,治療支援と,全体を3部構成として,合計10題の講演が行われた。
講演に先立ち,挨拶に立った代表世話人・森安史典氏(東京医科大学消化器内科教授)は,販売開始から現在までに約7万例に使用され,うち副作用の報告は25例弱で,市販後調査の中間報告からも,現時点できわめて安全性の高い造影剤であることがわかってきていると述べた。最近では,開業医や超音波検査に携わる技師からも注目されはじめ,ソナゾイドが臨床の現場で広がりつつある状況を説明した。
基礎の部では,兵庫医科大学超音波センター内科 肝胆膵科教授の飯島尋子氏が座長を務め,2題の講演が行われ,ソナゾイド造影超音波検査のポイントや原理の説明などが行われた。診断の部では,市立根室病院消化器内科副院長の小井戸一光氏と大垣市民病院消化器科部長の熊田 卓氏が座長を務め,「ソナゾイド造影超音波検査による肝細胞 癌の微細血流評価」,「ソナゾイドを用いた各種肝腫瘤の造影超音波所見」, 「フィリップス社製iU 22 を用いた肝腫瘤の造影超音波診断」,「EUB-8500を用いた肝腫瘤の診断」の4題が発表された。治療支援の部では,八尾徳州会総合病院肝胆道外科副院長の松田康雄氏と近畿大学医学部消化器内科教授の工藤正俊氏が座長を務め,「Defect Re-perfusion Imagingの有用性とRFA治療支援」,「RFAとRVSとSonazoid」, 「肝切除術における術中造影超音波の有用性」,「肝腫瘍患者に対するソナゾイドを用いた肝切除術中造影超音波の臨床的有用性の検討」の4題の講演が行われた。松田氏は講演後,ソナゾイド 造影超音波を術中に用いることが治療精度の向上につながっているのは明らかであり,同分野がさらに発展していくことに期待すると述べた。
各講演後には活発な質疑応答が行われ,ソナゾイドに対する注目度の高さが感じられる内容となった。
※第2回ソナゾイド研究会の内容はインナービジョン誌10月号に特集として掲載される予定です。詳しくはそちらをご覧ください。 |