日本超音波医学会第81回学術集会が5月23日(金)〜25日(日)の3日間,神戸国際展示場で開催された。大阪大学大学院医学系研究科機能診断科学講座教授の別府慎太郎氏が大会長を務め,「医学と医療における超音波」をメインテーマに,特別講演や会長講演,シンポジウム,パネルディスカッションなどが設けられた。
超音波診断は医療の幅広い分野で普及しているが,2007年に薬事承認された第二世代の超音波造影剤「ソナゾイド」の臨床応用が進むなど,新たな展開に注目が集まっている。本大会のメインテーマには,こうした流れへの期待を込め,学術的成果のみならず,医療全体から超音波を見直す意味が込められている。シンポジウムやパネルディスカッションでは,成長と老化,メタボリックシンドローム,超音波の新手法,超音波造影法,検診といった大きなテーマが設けられ,領域を超えた横断的な発表が行われた。
5月27日(土)に行われたパネルディスカッション7では,藤本泰久氏(兵庫医科大学外科学第2)と遠藤登喜子氏(国立病院機構名古屋医療センター放射線科)が座長を務め,「乳がん検診における超音波検査の役割」をテーマに講演と意見交換が行われた。現在,マンモグラフィによる乳がん検診が成果を上げつつあるが,dense breastが多い若年層では乳がん検出率が低く,それをいかに補完するかが大きな課題となっている。そこで,本講演では,実際に乳がん超音波検査を行っている演者が,マンモグラフィとの乳がん検出率の比較を数値で示し,超音波とマンモグラフィを組み合わせて検診に用いることのメリットなどについて報告した。参加者の関心も高く,会場からは,実際に超音波を検診に取り入れるための課題や精度管理などについて,活発な意見が交わされた。
このほか,各社がさまざまな角度から自社製品をアピールする「企業は魅せます」や市民公開講座などが行われた。
次回の第82回学術集会は,2009年 5月22日(金)〜24日(日)に,椎名 毅 氏(京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻教授)が大会長を務め,東京国際フォーラムで開催される予定である。 |