日本分子イメージング学会は,5月22日(木),23日(金)の2日間,大宮ソニックシティ(埼玉・さいたま市)において,第3回 総会・学術集会を開催した。
遠藤啓吾会長(群馬大学大学院医学系研究科)は,開会の挨拶の中で,「3回目を迎えた当会は人間で言えば3歳であり, “三つ子の魂百まで”というように,今後の学会のあり方が決まる会になるかもしれない」と意気込みを示した。
プログラムは,Memorial Sloan-Kettering Cancer CenterのSteven M. Larson氏による特別講演「Molecular imaging using Positron Emission Tomography in the Development of Anti-cancer drugs」,浙江大学核医学・分子イメージング研究所の張 宏氏による招待講演「中国での分子イメージングの現状とこれから──浙江大学の取り組みに中心にして」が行われたほか,シンポジウムが3つ,一般口演,ポスターセッション,企業による機器展示などが行われた。
「蛍光ツールの活用による,個体・疾患イメージング最前線」をテーマに行われたシンポジウム1では,マウスにがん細胞を移植するモデルを使って,血管新生や細胞周期をin vivo蛍光イメージングにより可視化した研究や,がんに特徴的な環境因子である低酸素細胞を標的とするプローブの開発,内視鏡診断装置による分子イメージングの可能性についてなど,幅広い内容の演題が 5題設けられた。シンポジウム2は,「MRIと分子イメージング」をテーマに行われた。滋賀医科大学MR医学総合研究センターの犬伏俊郎氏は,「ナノプローブを用いるMR分子イメージング」と題して講演。SPIO造影剤を取り込ませた細胞を生体に移植し,MRIで観察する手法を幹細胞やミクログリアに応用した研究を紹介した。神奈川科学技術アカデミーの横山昌幸氏は,薬物ターゲティングの基礎を概説したほか,高分子ミセルを応用したMRI造影剤の有用性について述べた。放射線医学総合研究所分子イメージング研究センターの青木伊知男氏は,「ナノ・キャリアによる複合機能イメージング・プローブ」と題して,抗がん剤,MRI造影剤,蛍光色素を封入した温度感受性リポソームを用いた,腫瘍治療におけるドラッグ・デリバリー・イメージング(DDI)や,量子ドットによるMRIと蛍光のハイブリッドイメージングなどを紹介。味の素(株)ライフサイエンス研究所の近藤高史氏は,「脳機能画像からのアプローチ──うま味シグナリングの脳内処理機構」と題して講演。新潟大学脳研究所統合脳機能研究センターの永澤 清氏は,「超分極C-13とMRSI」と題して講演した。
次回の第4回 総会・学術集会は,2009年5月14日(木),15日(金)の2日間,長野哲雄会長(東京大学大学院薬学研究科)のもと,学術総合センター(東京・千代田区)にて開催される予定である。
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