2月15日(金),16日(土)の2日間,亀戸文化センター(東京・江東区)において,第15回日本CT検診学会学術集会が開催された。胸部CT検診研究会の名称で1994年に設立された同学会は,2006年から現在の名称となり,活動している。今回の学術集会の大会長は,日立健康管理センタ放射線診断科の中川 徹氏(写真1)。「イノベーション:CT検診――肺がん早期検出から禁煙支援へ,さらにメタボ対策まで」をメインテーマに掲げ,4月から保険者による特定健診・保健指導の義務化が始まることを受けて,腹部のCT健診に関する演題も取り入れられている。
大会初日,中川氏の大会長挨拶に続き,一般演題が3セッション行われた。まず,CAD関連として,新潟大学医学部保健学科の和田真一氏が座長を務め,胸部CT検診におけるCADの技術について,長岡技術科学大学生物機能工学専攻の横地 洋氏の「MD-HRCTにおける肺野微小病変のためのCAD構築」など5つの発表があった。また,JA長野厚生連小諸総合病院の丸山雄一郎氏が座長を務めた一般演題2は,肺がん検診成績・小型肺がん診断がテーマで,長野県,鹿児島厚生連健康管理センター,日立メディカルセンターにおける肺がん検診の成績と有用性について報告があった。引き続き行われた一般演題3「有効性評価,アスベスト関連など」では,亀田総合病院呼吸器内科の金子教宏氏が座長を務めた。このセッションでは,放射線医学総合研究所の飯沼 武氏が,肺がん死亡率の低下に低線量胸部CT検診がどのくらい有効かを示すための評価法について発表した。
一般演題の後には,会場をメイン会場のカメリアホールからポスター展示が行われている大研修室へ場所を移し,岐阜環境医学研究所の松井英介氏を座長にしてポスターセッションが行われた。この大研修室は,企業展示会場にもなっており,(株)日立メディコが体脂肪を測定するアプリケーションソフトウエア「fatPointer」などを紹介していた。
ポスターセッションの後には,シンポジウム1「コンピュータ支援診断とCT検診」が行われた。このシンポジウムでは,国立がんセンターがん・予防検診研究センターの柿沼龍太郎氏,中京大学生命システム工学部の長谷川純一氏が座長を務めた。まず,(株)日立メディコの後藤良洋氏が,同社が開発を進める胸部CT画像用のCADの技術解説を行い,次に,徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス研究部の仁木 登氏が肺がん検出のCADについての開発動向について発表した。また,岐阜大学大学院医学系研究科知能イメージ情報分野の藤田広志氏は,CADの歩みとわが国における研究開発の現状と課題について説明。放射線医学総合研究所の松本 徹氏は,肺がん検出用のCADの実用化に向けての課題について報告した。
大会2日目には,国立がんセンター研究所の望月由美子氏による「たばこ規制の国際潮流と市民社会の役割と連携」と題した特別講演が行われた。このほか,国立国際医療センター研究所の溝上哲也氏による教育講演「内臓脂肪蓄積とがんのプロモーション」,シンポジウムとして「禁煙支援とCT検診」,「人材確保・教区:認定制度とe-learning」,パネルディスカッション「特定健診・特定保健指導とCT検診」が設けられた。
次回の学術集会は,帝京大学医学部内科学講座腫瘍内科の江口研二氏が大会長を務め,2009年2月13日(金),14日(土)の2日間,パシフィコ横浜を会場に開催される予定である。 |