東芝メディカルシステムズ(株)は,2月15日(土),東京コンファレンスセンター(東京・港区)で,Leading
Innovation Seminar 2008「Multicenter Trial "Core64"
and the Future of Comprehensive Cardiac」を開催した。「冠動脈CT検査の国際的エビデンスと世界初320列Aquilion
ONEのバリュー」というキャッチフレーズがつけられたこのセミナーは,RSNA2007(第93回北米放射線学会)で発表した320列の検出器を搭載したArea
Detector CT「Aquilion ONE」と同社が研究スポンサーとなって行われた心臓CT検査のマルチセンタースタディである「Core64(Coronary
Evaluation on 64)」がテーマとなった。座長は,国家公務員共済組合連合会虎の門病院の山口 徹氏(写真1),慶應義塾大学医学部放射線医学教室の栗林幸夫氏(写真1)の2名が務めた。
第1部「CT technology for Cardiac」は,藤田保健衛生大学衛生学部診療放射線技術学科の安野泰史氏(写真2)が「循環器領域におけるCT撮影技術の現状と将来――64列MSCTからArea
Detector CTへ」と題し,Aquilion ONEの心臓CTにおけるアプリケーションとその有用性を報告した。安野氏は,まず64列MDCTにおける心電同期フラッシュヘリカルスキャンなどの技術・プリケーションを説明した。その上で,Aquilion
ONEの"ONE CT System","ONE Examination"というコンセプトについて触れ,"One
Shot Scan, One Beat Scan, One Volume Scan"が可能なCTであると紹介。さらに,Aquilion
ONEの特長として,ヘリカルスキャンから脱却し,画像の均一性,連続性の向上,被ばく低減を図れ,等方向性,等位相性,当時相性の画像が得られると述べた。また,安野氏は,Calucium
Score mode,Prospective CTA modeなどのアプリケーションを取り上げた。講演の最後に,安野氏は,64列MSCTよりも被ばく量が減り,banding
artifactがなくプラークの描出に優れ,冠動脈,心機能,血流,心筋灌流がOne Examinationで得られるとまとめた。
続く第2部はCore64に関して2演題が設けられた。このCore64は,7か国9施設が参加した国際的な多施設臨床試験で,Aquilion
64による冠動脈CTAとカテーテル検査の比較評価を行うものである。日本からは岩手医科大学が参加し,2004年11月にスタートした。最終報告は2007年11月に行われた米国心臓協会(AHA)の第80回学術集会において報告されている。講演では,まず岩手医科大学循環器医療センターの新沼廣幸氏(写真3)が「The
experience of CORE64; our process to take a
evidence」をテーマに発表した。新沼氏はCore64が行われた背景を説明し,その目的を64列MDCTを用いた心臓CTのエビデンスを確立することであると延べ,研究システムや計画,登録した症例数について説明した。そして,症例を提示した上で,Core64の意義について,心臓CTの基準となる結果,チャンピオンデータではない臨床に近い結果が得られたことや,他国籍,他人種でのデータが収集できたこと,撮影法と検査法を提示できたことなどを挙げた。
続いて,Core64の主任研究委員会のメンバーであるジョンズ・ホプキンス大学のDr.
Joao A. C. Lima(写真4)が,「The Core64 Multi-Center
Study Results」と題して講演した。Dr.Limaは,Aquilion64でCTAを行い,その後30日以内にカテーテル検査を行った291例において,感度85%,特異度90%,陽性的中率91%,陰性的中率83%と好成績であったと述べた。またROC解析の結果を示し,カテーテル検査と同等の診断が可能であると説明した。また,Dr.Limaは,ジョンズ・ホプキンス大学における256列のCT画像を提示し,320列Area
Detector CTへの期待を示した。
当日は,大阪にも会場が設けられ,ライブ中継も行われた。両会場とも多くの参加者が訪れ,心臓CTの最先端のトピックスへの関心の高さがうかがえた。 |