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東芝メディカルシステムズ
320列面検出器CT技術を用いた
国際的多施設合同臨床試験:「CorE320」がスタート
〜冠動脈疾患における心臓CT診断の有効性を核医学検査と比較
(2008/12/3)

●問い合わせ先
東芝メディカルシステムズ(株)
CT事業部
TEL 03-3818-2090
http://www.toshiba-medical.co.jp/

 

※RSNA2008発表リリース和訳

 東芝メディカルシステムズ(株)は,最新CT技術の臨床的有効性を実証するため,世界各国の先進的臨床機関が参加・推進する多施設合同臨床試験「CorE320 (注)1」をサポートする。この臨床試験は2008年12月から開始予定で,世界初の320列面検出器を用いて心臓を動態で三次元画像観察できる最新CT技術の心臓検査における有効性が評価される。従来,狭心症や心筋梗塞の診断においてはカテーテルX線造影検査による冠動脈の狭窄評価と核医学検査(SPECT)による心筋虚血の評価が個別に実施されていた。新たに開発された320列面検出器CTでは一回の検査で冠動脈の評価(CTアンギオグラフィ)と心筋の評価(心筋パフュージョン検査)が可能となるため,この診断結果を従来のカテーテル造影X線検査と核医学検査による結果と比較することにより,その有効性を評価する。

(注)1
Coronary Evaluation Using Multidetector Spiral Computed Tomography Angiography using 320 Detectors

 この臨床試験で用いられるのは「Aquilion ONE」と呼ばれるCTであり,本年11月30日〜12月5日にわたって米国シカゴで開催されている北米放射線学会において機器展示並びに同機を用いた世界の研究施設からの学術発表が行われる。この新しいCT技術の有効性を検証し,医療の世界における一層の普及を目指すためには高いレベルのエビデンスを確立することが必要となる。しかし,単一の施設,人種,地域における小集団での臨床試験では限界やバイアスがあるため,国際的,多施設,多人種かつ大規模集団での臨床試験をデザインし,統計的にも高い信頼性を確保する必要がある。「CorE320」は,このような視点に基づいて計画された国際的な多施設合同臨床試験であり,CTと核医学それぞれのコアラボ(中核研究施設)が総合的に研究を統括していく。

 ジョンズホプキンス大学(米国,バルチモア)のDr. João A. C. Limaは主席研究者として本試験を主導し,また同大学はCT関係のコアラボとしてデータ収集・解析を進める。ハーバード大学の臨床教育病院であるブリガムアンドウイメンズ病院(米国,ボストン)のDr. Marcelo Di Carliは核医学(SPECT)のコアラボとして研究を主導する。また,欧州,日本を含むアジア,南米から「CorE320」試験に参加する施設はこの数ヶ月以内に決定される予定。

 東芝は64列マルチスライスCTを用いた国際的多施設合同臨床試験「CorE64」をサポートした実績がある。この冠動脈CTの診断能に関する試験成績は昨年11月に米国心臓病協会(AHA)年次集会でジョンズホプキンス大より発表され,本年11月27日発行の「ニューイングランド・ジャーナルオブメディスン」誌に最終論文(注)2として掲載され,米国の主要マスコミがこれを報道した。

(注)2
Volume 359:2324-2336 November 27, 2008 Number 22, Diagnostic Performance of Coronary Angiography by 64-Row CT, Julie M. Miller, M.D., et al.

 また,東芝は2007年6月にスタートした「faCTor64」(注)3と称する臨床試験のサポートも米国において継続中である。糖尿病患者1,000人以上を登録して標準的内科的治療群と心臓CT検査をもとにした積極的なリスクファクター低減治療群とに分け,その長期予後を比較するという臨床試験で,米国ユタ州の非営利病院グループの「インターマウンテン・ヘルスケア」によって推進され,2011年に試験成績が公表される予定となっている。

(注)3
Screening For Asymptomatic Obstructive Coronary Artery Disease Among High-Risk Diabetic Patients Using CT Angiography, Following Core 64 http://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT00488033?term=factor64&rank=1

 320列面検出器CT技術は2007年11月に発表され,臓器全体を一回のスキャンで立体画像として撮像でき,さらに連続スキャンを行えば人体の構造や動き,血流状態までを評価できる四次元CTとして世界から注目を集めた。また,螺旋状スキャンにより部分的な立体画像をつなぎ合わせる従来方式のCTと異なり,一回のスキャンで160mmのエリアを撮像できるため,被写体の体動などによるアーチファクト(偽像)が大幅に低減,さらに被ばく線量,造影剤量も少なくなっている。